米Microsoftは7月1日 (現地時間)、検索技術/ 自然言語技術を手がける米Powersetの買収合意を明らかにした。自然な話し言葉での検索を可能するPowersetの検索エンジンは、次世代の検索技術として注目されている。同社は現在の拠点である米サンフランシスコにとどまったまま、MicrosoftのSearch Relevanceチームに所属するという。
Powerset買収について、Microsoftの検索担当のシニアバイスプレジデントであるSatya Nadella氏は、検索に対して同じビジョンを共有していると強調する。ビジョンとは「検索やWebページ中のワードに含まれる意図や意味の理解を追加することで、検索を次のレベルへと引き上げる」だ。
現在の検索ユーザーは、数回の検索を繰り返したり、長く続く検索結果を何度もクリックしながら目的の情報にたどり着いている。これには2つの問題が影響しているとNadella氏は指摘する。まずユーザーの検索とWebページ内の情報での表現に使われているフレーズやコンテクストの違いだ。例えば「cancer」という言葉には「癌」と「カニ座」の異なる意味があり、cancerというワードだけの検索ではユーザーの目的から離れたWebページが結果にリストされる可能性がある。もう1つの問題は、検索結果における不明瞭なWebページの説明だ。シンプルな説明だと実際にWebぺージを開くまで関連性の度合いを判断しづらく、結果的にクリックの回数が増えてしまう。ワードをマッチさせるだけの検索では、これらの問題を避けられない。検索やWebぺージの意図や意味の理解が必要になり、Microsoft Researchでは検索において自然言語を理解・処理する技術に取り組んでいる。Powersetの自然言語技術は、これまでのMicrosoft Researchの自然言語処理技術を補完する存在になるという。またPowersetにはPARK出身者や他の検索エンジン開発を手がけた経験豊富なスタッフが集まっており、「有能なエンジニアとコンピュータ言語学の専門家のグループがLive Searchに加わる」とNadella氏は述べる。
Powersetは現在、Powerlabsという招待制のテストを通じて自然言語検索エンジンを一部に公開している。また同社のサイトで、Wikipediaの記事を対象にした自然言語検索を体験できる。