本日から2日間、東京都有楽町の東京国際フォーラムにて、GridWorld 2008、Next Generation Data Center 2008/Green IT Worldが同時開催されているが、本日、経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器 課長 住田孝之氏が「グリーンITが創り出す新たな情報経済社会」と題して基調講演を行った。

会場となった東京国際フォーラム

展示会場ブース

経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器 課長 住田孝之氏

冒頭住田氏は、グリーンITに対してはITの機器自体の省エネと、IT機器を使った社会全体の省エネの2つを目標にしていきたいと述べ、IT機器を使った省エネについては、センサーや計測機器に基づくきめ細かな管理を行うことで、オフィスビル、住宅や流通をはじめとする各分野で可能とした。

さらに同氏は、国内におけるITよる削減効果は、2025年時点で約5900億kWhと予測され、日本の全エネルギー消費量の10%にあたると語り、グリーンITによる効果を最大限発揮させるためにはデータセンター、ネットワーク、ディスプレイなどの省エネを実現するための技術開発を推進するのと同時に、省エネへの貢献度を「見える化」する必要があると述べた。

使用時段階での環境貢献度を見える化することが重要

見える化について住田氏が指摘したのは、産業界においては、二酸化炭素の総排出量でしか省エネの貢献度が語られていないという点。同氏はエアコンの生産を例に挙げ、通常型のエアコンを50万台販売したA社と、省エネ型のエアコンを150万台販売したB社があった場合、二酸化炭素の総排出量は、どうしてもB社のほうが多くなってしまう。しかし、消費者が使用する電力消費量を含めた省エネに対する貢献度ではB社のほうが大きいわけで、総排出量だけを考えていると、貢献度の大きいB社がA社から排出権を買うというような結果になり、これでは本末転倒ではないかという。

そこで同氏は、省エネの商品を購入した消費者、それを売った販売者、その商品を作った生産者の3者において、省エネ貢献度を見える化し、販売者と生産者については貢献度に相当する二酸化炭素の排出量を、生産に要した総排出量から差し引くようなしくみが必要だと述べた。そして、貢献度を図る基準として、トップランナー方式を考えているという。

トップランナー方式とは、各機器において、現在利用されている製品のうち、もっともエネルギー消費効率が優れている性能を目標と定め、決められた将来までにその目標に産業界全体が達成することを求める方式だ。そして、この目標値を上回った二酸化炭素の削減量を3者間で割り振り、貢献度としようというものだ。そして同氏は、このようなしくみの実験的な導入を今後進めていく考えを明らかにした。