韓国最大手の携帯電話事業者、SK Telecom(以下、SKT)は、同社が提案していたテレマティクス技術が"世界的な標準"として採択されたと発表した。

SKTが開発したのは、携帯電話を通じて自動車の各種機能を操作できる「Telematics API For Java ME(Java基盤のテレマティクスサービス技術)というものだ。この技術が、Java関連の標準化団体である「JCP(Java Community Process)」から、最終承認審査を受け、標準技術として登録されたという。SKTではこの技術に関する知的財産権を保有することとなる。

「Telematics API for Java ME」技術は、一言でいえば自動車に関連した各種機器の診断や調整などを、携帯電話でできるようにしたJava基盤の技術だ。SKTによるとテレマティクス関連技術は現在「世界的に標準化された技術ではなく、自動車会社や通信会社別によって開発された技術のみがあるため、市場拡大や普遍化のため世界共通で利用できる標準技術の必要性が提起されている」という。

一方で市場性は見込まれており「現在2億ドル規模から、2010年には3億3,000万ドル規模へ、現在1,000万人規模の利用者数が、2010年には1,500万人規模に拡大する」(SKT)ことが予測されている。

今回開発された技術では、自動車内に搭載されている「ECU(Electric Contorol Unit」と携帯電話とを、Bluetoothあるいはシリアルケーブルでつなぐことで、制御を可能とするものだ。

これにより現時点では、大きく3つのサービスが見込まれている。1つ目は車両内の電子機器の制御やエラー情報を確認/対処することができる「車両診断サービス」、2つ目はドア、エアコン、エンジンなど、車両の各部分や装備を監視したり制御したり、あるいは緊急時の救助や走行案内が可能な「車両装置モニタリングおよび制御サービス」、3つ目は運転者の習慣や身体的な条件などによって、車両の状態や運転に必要な環境を設定できる「センシング基盤の車両管理などのテレマティクスサービス」だ。

実際の商用サービス時期は「まだ未定」(SKT)とのこと。というのは「まだ技術があるだけの段階で、自動車メーカーとも搭載に関する合意が行われていない」(SKT)ためだ。自動車メーカーとの合意後も、実際の自動車を使って連動実験をしていく必要があるため、商用化までには時間がかかりそうだ。

とはいえ、すでに世界最大の携帯電話事業者であるNokiaと提携し、両社が保有しているテレマティクス関連技術規格について、互換性を持たせるというところまで合意は進んでいるようだ。JCPから標準としてのお墨付きを得たことで、今後グローバルに広まっていくことが予想される。