STMicroelectronicsの日本法人であるSTマイクロエレクトロニクスは20日、同社にて会見を開き、英ARMのCortex-M3コアを採用した32ビットマイコン「STM32」ファミリに新たに28品目を追加したと発表した。これにより、STM32のラインナップは46品目となった。新機能として、デバッグ用のトレース機能(ETM)や、外部メモリコントローラ(FSMC)、12ビットのD/Aコンバータなどを備えている。また内蔵メモリの容量が増加した。

STM32のブロックダイアグラム

STM32のラインナップ - 緑の丸で囲まれた部分が、今回追加になった製品。100ピンと144ピンの製品のうち、濃い青のブロック内の製品のみがLQFPとBGAの両方に対応。薄い緑のブロック内の製品はLQFPのみ

今回追加された製品は、72MHzで動作する「パフォーマンスライン」と、36MHzで動作する「アクセスライン」の2種類に分類されている。内蔵メモリとして、最大512Kバイトのフラッシュメモリを搭載。またパフォーマンスラインは最大で64Kバイトの、アクセスラインは最大48KバイトのSRAMを内蔵している。そのほか、パフォーマンスラインの製品には、インタフェースとしてSDIOやI2Sを追加した。

パッケージは36ピンのQFN、64ピンのLQFP、100ピンのLQFPおよびBGA、144ピンのLQFPおよびBGAを用意している。1万個購入時の1個あたりの価格は、パフォーマンスラインが2.20~6.51ドル、アクセスラインが1.80~5.88ドル。

同社によると、STM32の顧客数は1,000を超え、日本でもSTM32を搭載した医療機器や電子楽器、AV機器などが開発されているところという。また、海外では産業機器や家電にも採用されており、モータ制御の用途でも使われているとの事例も紹介された。さらに低価格帯の製品を近々発表することや、「高性能」「コネクティビティ」「ローパワー」のそれぞれに特化した製品を準備しているという発表もなされた。

STM32のロードマップ

またSTM32の応用例として、マルチタッチスクリーン(同時に複数箇所の位置検出が可能なタッチクスリーン)のデモンストレーションなども披露した。

マルチタッチスクリーンのデモンストレーション