BCNは、薄型テレビおよび次世代ディスクをはじめとするDVD/HDDレコーダーの北京オリンピック需要動向について発表した。これは、同社が全国26社2,350店舗のPOSデータをもとに集計、予測したもの。

同社の田中繁廣チーフアナリストは、「当社が集計するテレビ、レコーダー、パソコンなどのデジタル家電118品目の販売金額は、4月を底に上昇に転じている。例年、谷間となる時期に伸張しているのは、ボーナス商戦を前倒しする形で、北京オリンピック需要が立ち上がっている証」とした。

同社では7月中旬をオリンピック需要のピークが訪れると予測しており、「薄型テレビの7月の需要は、台数では前年同月比40%増、金額では30%増に達すると予測できる」とした。また、DVD/HDDレコーダーについても、「5月を境にBlu-ray(BD)レコーダーの本格的な普及期に入った」とし、7月にはBDレコーダーを含むDVD/HDDレコーダー市場は、台数で20%増、金額で25%増の伸びが期待できるとした。さらに「オリンピックにおける日本人選手の活躍次第では、8月中旬まで需要のピークが続く可能性がある」と予測した。

BCNランキングによると、118品目の販売実績は、金額ベースで5月は0.1%増、6月1日から15日までの集計では前年比5.1%増となっている。2007年度実績では、5月が2.0%減、6月が4.0%減とマイナス成長になっていたことと比較すると、例年とは異なる動きをしていることがわかる。「なかでも、DVD//HDDレコーダーが前年同月比38.3%増、液晶テレビが24.6%増と高い伸びを見せていることからも、北京オリンピック需要を背景としたものであるのが明らか」とする。

液晶テレビおよびプラズマテレビをあわせた薄型テレビ全体では、5月の販売台数で前年同月比27.5%増、6月1日から15日では35.3%増となっている。とくに液晶テレビの伸張が顕著で、6月1日から15日までのデータでは、前年比50.5%増という高い伸びを見せている。

また金額ベースで見ても液晶テレビは、前年比24.6%増と過去半年で最も高い成長率を記録。プラズマテレビも、前年割れが続いていたものが、6月には一転して14.5%増とプラスに転じた。「プラズマテレビでは、松下電器がオリンピック公式スポンサーとしての訴求効果が影響している」と分析した。

また、サイズ別には、大画面モデルの需要が増加していることを指摘。なかでも40 - 50インチ未満が、6月1日から15日までの集計で前年比116.7%増と倍増していることがわかった。「液晶テレビで46インチの伸張が特筆できること、さらにプラズマテレビでも松下電器が46インチを投入したことで、このクラスが伸びている」という。

オリンピック需要が顕在化したと思われる薄型テレビ市場

大型テレビが需要を牽引か

メーカー別シェアでは、シャープが着実にシェアを拡大しており、5月の48.6%から、6月1日から15日までの集計では54.0%と過半数を突破し、強みを見せつけた。だが、40~50インチ未満の液晶テレビではシャープとソニーが拮抗。6月1日から15日までのデータでは、シャープの45.8%に対して、ソニーが45.0%と僅差となった。大画面液晶テレビに力を注ぐソニーの戦略が功を奏した格好だ。

なお、平均単価は、50インチ以上の液晶テレビは下落傾向にあるものの、それ以外の液晶テレビの価格はほぼ横ばいで推移。価格下落傾向が一段落していることを示した。だが、プラズマテレビは、松下電器のパワーアスリート画質戦略などもあり、50インチ以上、40 - 50インチ以上ともに、価格が上昇傾向にある。

一方、DVD/HDDレコーダーは、前年割れで推移していた台数ベースの実績が、5月は6.9%増とプラス成長に転換。6月1日から15日まででは、前年比25.2%増となった。また、金額ベースでは、5月が18.8%増、6月1日から15日まででは38.3%増と大きく伸張している。この背景には、オリンピック需要とともに、次世代ディスクレコーダーがBDに一本化されたことが作用しており、DVD/HDDレコーダー全体のうち、5月には台数ベースで34.7%、金額で53.6%をそれぞれBDが占めた。「7月は金額ベースで6割を占める可能性がある」と予想している。

BDレコーダーのメーカー別シェアでは、今年1月時点には、ソニーが台数、金額ともに60%以上のシェアを占めていたが、5月の集計ではシングルチューナーモデルおよび250GB HDD搭載の低価格モデルを投入した松下電器が台数で43.5%、金額シェアで44.2%と首位を獲得。ソニーは、台数で40.9%、金額で39.9%と2位になった。またシャープは、台数で15.2%、金額で15.5%となっているが、「7月にシャープの新製品投入が控えていることから、今後シェアを拡大する可能性がある」などとした。

HD/DVDもオリンピック需要で大幅な伸び

ソニーと松下のトップ争い

なお、ダビング10の延期に関しては、「市況にはまったく影響がなかった」としている。