6月18日に、スーパーコンピュータの性能ランキング「TOP500」の2008年6月版が発表された。今回の1位は米ロスアラモス国立研究所に納入されたIBMの「Roadrunner」で、初めて1P(Peta)FLOP/sを超えた。同システムは電力性能比でも最上位を争う1つとなっている。

Roadrunnerは、Cellプロセッサとx86デュアルコア・プロセッサのOpteronを組み合わせたハイブリッド構造が特徴。9コアのCellに演算能力が求められるタスク、Opteronに基本的なコンピューティング機能を割り当てることで効率的な性能向上を実現した。2位は前回まで長く首位の座にあった「BlueGene/L」で478T(Tera)FLOP/sだった。Roadrunnerがダブルスコアのトップとなっているが、リスト全体のパフォーマンス向上も目覚ましく、今回のリストで最下位のシステムは前回11月のリストでは200位の性能に相当する。

ベンダー別のシステム数はIBMが210システム(42%)で1位。Hewlett-Packard(HP)が183システム(36.6%)で2位だった。ただし前回IBMが46.4%でHP(32.2%)を大きく引き離していたのに比べると、HPの伸びが目立つ。パフォーマンスではIBMがリスト全体の48%と2位(HP : 22.4%)以下を圧倒している。

プロセッサ別では、Intelプロセッサ搭載システムが前回の70.8%からさらにシェアを伸ばして75%に達した。クアッドコア・プロセッサが283システムと主流に定着。デュアルコアは203システム、シングルコアはわずか11システムにとどまった。Roadrunnerで注目されたCellは3システムで採用されている。

他の注目点としては、Windows HPC Server 2008を搭載したNational Center for Supercomputing Applications (NCSA)の「Abe」が69TFLOP/sで23位にランクイン。MicrosoftのTOP500初登場となった。

また今回初めて電力性能比のデータも公開された。最も効率性が高いのはIBM QS22 Cellプロセッサ・ブレードで1ワットあたり最大488MFLOP/s。さらにIBM BlueGene/Pシステムが同376MFLOP/sとなっている。さらにIntelのクアッドコアXeon "Harpertown"プロセッサを搭載したIBM BladeCenter HS21が1ワットあたり265MFLOP/s、SGI Altix ICE 8200EXが同240MFLOP/sと続く。

地域別では米国が257システムでトップ。ヨーロッパが184システム、アジアが48システムだ。日本勢では東京大学、筑波大学、京都大学の「T2K」が、それぞれ16位、20位、34位にランクされた。アジア地域内で日本のシステムは前回の20システムから22システムに伸びた。

順位 システム 導入先 ベンダー スコア(TFLOP/s)
1 Roadrunner DOE/NNSA/LANL(米) IBM 1026.00
2 BlueGene/L DOE/NNSA/LANL(米) IBM 478.20
3 Blue Gene/P Argonne National Laboratory(米) IBM 450.30
4 Ranger Texas Advanced Computing Center(米) Sun Microsystems 326.00
5 Jaguar Oak Ridge National Laboratory(米) Cray 205.00
6 JUGENE Forschungszentrum Juelich(独) IBM 180.00
7 Encanto New Mexico Computing Applications Center (米) SGI 133.20
8 EKA Computational Research Laboratories(印) HP 132.80
9 Blue Gene/P IDRIS(仏) IBM 112.50
10 SGI Altix ICE 8200EX Total Exploration Production(仏) SGI 106.10