NECエレクトロニクスは18日、Blu-ray Disc(BD)の記録および再生機能を1チップ化したシステムLSI「SCOMBO/UM2A」および、再生専用システムLSI「SCOMBO/UM2P」を開発したことを発表した。即日サンプル出荷を開始。価格はSCOMBO/UM2Aが2,000円、SCOMBO/UM2Pが1,500円となっている。

NECエレクトロニクス 第二SoC事業本部 副事業本部長 新津茂夫氏

光ディスクドライブの市場は従来のDVD用ドライブならびにBDドライブを合わせて2008年度で約3億台。これが2010年度には3億9,000万台へと成長することが見込まれる。特にBDドライブの市場は、「2007年度で350万台程度であったものが、2008年度には1800万台、2010年度では7,000万台と急激に市場が拡大することが予測される」(同社 第二SoC事業本部 副事業本部長 新津茂夫氏)であり、「新製品の投入により、PC周辺市場で20%、AV機器市場で60%であった市場シェア(2007年度)を2008年度はそれぞれ40%、70%へと引き上げる。また、2010年度には1,000万個の出荷を行い、2つの市場を合算したシェアで50%以上の獲得を目指す」(同)とした。

BDドライブの市場推移

2008年度はPC周辺市場で40%、AV機器市場で70%のシェアを狙う

2製品ともに、従来は光ピックアップを制御するアナログ処理回路(ASP:Analog Signal Processor)と、データ変復調やエラー訂正を行うDSPの2チップ構成であったものを、CMOSプロセスを用いて1チップに集積している。採用プロセスは「0.15μmだが、専用プロセスとして開発しており実際には20%のシュリンクを実現している」(同)という。

また、従来のDVD用SCOMBOや前世代品となるBD用SCOMBOで用いられてきたアーキテクチャと共通のものを採用しているため、ユーザーは開発日程の短縮が可能になるとしている。

SCOMBOのロードマップ

UM2Aは、DVDの20倍速記録を実現する際に開発したアンプ技術などを基に回路を構成することで、BDの記録/再生速度を従来の最大5倍速から最大8倍速へ、DVDの記録/再生速度も最大20倍速へと向上させている。また、1チップ化に伴い、従来品比で消費電力を33%減を実現しているほか、機器に用いられる部品点数を約100点減少させることが可能であり、実装面積も20%縮小することができるという。

「SCOMBO/UM2A」の特長

UM2Pは「価格を重視した製品」(同)であり、同社のデジタルAV機器向けシステムLSI製品群「EMMA」と組み合わせることで、ディスクから読み取ったアナログデータをUM2Pでデジタルデータに変換した後、EMMAにてデジタルデータをAV信号に変換するというBlu-rayの再生に必要なソリューションを構築することが可能になる。

「SCOMBO/UM2P」と「EMMA」を組み合わせることでBlu-Rayプレーヤの構築が可能に

2製品は、2008年度上期中に、月産30万個で量産を開始、2008年度末に月産100万個規模に拡大することを計画している。量産工場は従来製品と同様、前工程がNECセミコンダクターズ九州・山口の熊本工場、後工程が首鋼日電電子(SGNEC)が担当する。

また、次世代製品に関しては、記録・再生用チップであるUM2Aに関しては低消費電力化、高倍速での記録といった高機能化を推進。書き込み速度としては、「12倍もしくは16倍速への対応となるが、ピックアップ側の対応も重要な課題」(同)とした。

また、UM2Pに関しては、EMMAの中にIPコアとして取り込むことを示唆、1チップで入力から出力まで対応できる製品を作ることで「ユーザーにさらなるコストメリットを提供する」(同)とした。

次世代SCOMBOへ向けた取り組み