NECエレクトロニクスおよびNECは17日、次世代のシステムLSIで求められる低消費電力性を低コストで実現する技術を開発したと発表した。

両社は、メタルゲートとしてNiSi2(ニッケルダイシリサイド)を用いることにより、ゲート電極と絶縁膜界面の不純物によるトランジスタのしきい値電圧を広い範囲で制御可能であることを発見。ゲート電極と絶縁膜界面における異種不純物の偏析を利用することで、ロジック部を構成するしきい値電圧の低いトランジスタ2種類およびメモリ部などを構成するしきい値電圧の高いトランジスタ1種類を同一のゲート電極および絶縁膜で形成する技術を開発した。

この技術により、ゲート電極の空乏化問題が解消されるため、トランジスタの効率的なスイッチング動作が可能になる。両社では、同技術を用いたSRAMを試作、SRAM動作時の消費電力を従来のSi電極と比べて30%低減できることを実証した。また、待機時の消費電力に重要なゲートリーク電流は1/100に低減可能であることを確認した。

なお、両社では、ゲート電極および絶縁膜の材料は従来使用されてきた材料と同一であるため製造容易性を確保できるようになるとともに、新たな設備や製造工程が不要となるため製造コストの低減が可能となるとしている。