米Netezzaのジム・バーム社長兼COO

米Netezzaのジム・バーム社長兼COO(最高執行責任者)が来日、同社の全世界、および日本市場での事業戦略について語った。2009年には、米国外での売り上げ比率を現行の20%から30%に上昇させ、近い将来には50%にまで拡大することを目指す。今年は海外市場での成長を期して、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、韓国、インドに拠点を開設するなど、積極的に展開している。

同社の主力製品である、データウェアハウス(DWH)・アプライアンス「Netezza Performance Server(NPS)」は、データウェアハウスに最適化した製品で、単一のユニットに、リレーショナルデータベース、サーバ、ストレージを統合化、テラバイト級の膨大な量のデータを、高速処理することが可能になっている。バーム社長は「DWH・アプライアンスは我々が発想したものだが、これが登場する以前には、企業はDWHを構築する際、サーバ、データベース、ストレージをそれぞれ購入し、自前で統合しなければならなかった。大変な手間やコストがかかっていたが、DWH・アプライアンスは、それを解決した」と話す。

これまでのDWHは「チューニングをして、設計し、特定の問い合わせに対し分析する、という流れが多かったが、NPSでは、すべてのデータにアクセスし、分析することができる。すでに用意された定義、切り口で検索するのではなく、事前に想定していない切り口で、データベースに問い合わせる"アドホック・クエリ"が可能になる」(バーム社長)。また「NPSは、質問に対し、数分、あるいは数秒で答えることができる。DWHは従来、低いパフォーマンスが、導入への阻害要因だったが、これも当社は解決できた」(同)

汎用的なサーバは、データを処理する場合、HDDなどに蓄積されたデータをメモリ上に展開してから処理するのが一般的だ。しかし、ここで流れるデータ量が増えて、膨大化すると、メモリに転送するだけで相当の時間を要することになる。つまり、従来のシステムでは、データの流れがボトルネックとなり、時間がかかっていた。そこでNPSでは「処理機能をデータに近いところに配置して、データがメモリに到達する前に処理する、ストリーミング処理の手法を採っている。これは、SQLクエリの処理にすばらしいメリットをもたらす」(同)。NPSの処理が高速であるのは、このような利用による。

また、バーム社長は「我々は2003年から現在までに3つの世代の製品を市場に投入しているが、第3世代の製品は第1世代の製品に比べ、パフォーマンスは30倍、最大容量は40倍、ラック単位の密度は20倍になっている。(18~24カ月で、半導体の集積密度は倍増するという)ムーアの法則を上回る勢いで進化している」と指摘、情報爆発と表現されるほどになっている、最近のIT利用環境で使用されるデータ量の激増にも、同社のアーキテクチャは耐えられるということを示唆した。

同社の顧客となる企業は、これから何を求めるか。バーム社長は次のように解説する。「今後、企業は、ビジネス遂行のため、いっそう多くのデータを集めていくことになるだろう。企業内のエンドユーザーの多くは、より迅速に意思決定をしようと、頻繁にそれらのデータにアクセスし、分析しようとする。非構造化データもその対象となる。多くの企業は、競争力を養成するため、分析への投資に力を入れている」。このような要求に応え同社は「価格性能比や、処理のパフォーマンスをさらに向上させ、DWHと分析機能を、意思決定を支援するソリューションの主流にし、顧客満足度を高めていく」方針だ。

「新しい市場を創造することに成功した。IBM、Hewlett-Packard、Teradataなど大手ITベンダも、当社の後を追いかけて、この領域に参入してきた」と、バーム社長が自賛するように、同社は大幅に業績を伸長させており「3年連続で年率50%以上の成長率」(同)を記録している。同社の設立は2000年、初めて製品を市場に送り出したのは2003年で、同社の2004会計年度の売上高は1,360万ドルだったが、2007年度は7,960万ドル、2008年度(2007年2月~2008年1月)は1億2,670万ドルに達した。2009年度第1四半期(2008年2~4月)は3,960万ドルだった。通期の見通しは1億7,000万ドル。現在では、全世界で170社以上が同社の製品を採用しているという。

日本ネティーザのダグラス・エッツェル社長

日本国内では2005年からDWHアプライアンスの販売を開始しており、「1年前頃には国内での導入実績は7~8社だったが、2008年6月現在で35社にまで伸びている」(同社の日本法人、日本ネティーザのダグラス・エッツェル社長)状況で、業種は、流通、製造、E-Business、運輸、サービス、金融、通信など多岐にわたる。国内では、日本ユニシス、NEC、伊藤忠テクノソリューションズの3社が、同社製品の販売、1次サポートだけでなく、構築・開発サービスまでを担う代理店パートナーになっている。エッツェル社長は「膨大なデータを、高いパフォーマンスで処理したいというニーズは、欧米も日本も共通のものだ」と述べ「パートナーと協力して、全体的なソリューションを提供していきたい」としている。