日本IBMは、主に企業ユーザーを対象にしたマッシュアップ用の開発製品「WebSphere sMash V1.0」の日本語対応版を、6月20日より出荷すると発表した。4プロセッサコアまでの環境で利用可能、再配布はできないなどの制限の付く「Developer Edition(DE)」と制限のない製品版があり、DEは無料でダウンロードして利用でき、製品版は143万円となっている。

マッシュアップとは、異なるWebサイトが提供するサービスを組み合わせて、新しいアプリケーションを開発する手法。従来は個人での利用が多かったが、IBMの今回の製品は、エンタープライズ領域での適用を想定したものだ。具体的には、財務会計のアプリケーションの中に、Webからの株価情報を同時に表示させるなど、すでに稼働している企業内アプリケーションと、企業外から得られる情報を統合して、新しいビューを提供しようというもの。

WebSphere sMashの活用例

日本IBMの理事 ベイト デイビット氏

ソフトウェア事業やWebSphere事業部を担当する 日本IBMの理事 ベイト デイビット氏は「エンタープライズ領域でマッシュアップを利用するには、Web2.0やSOAを組み合わせていく必要がある」と語る通り、今回の製品はRSS、REST(Representational State Transfer)、AJAXなどのWeb2.0技術をサポートしている。

Web2.0とスマッシュアップによりSOAを拡張

WebSphere sMashの全体像

ブラウザベースの開発環境でコードを作成し、ボタン1つですぐに実行できる。スクリプト言語はPHPとGroovyサポート。Rubyなどの他の言語については、今後の動向を見て決めるという。

開発画面

実行環境は、Java仮想マシン(Java SE)の上で、WebSphere sMashのランタイムを走らせる。また、HTTPサーバ機能も持っている。

WebSphere sMashのアーキテクチャ

また、IBMではWebSphere sMashのためのコミュニティサイト「Project Zero」をすでに開設しており、WebSphere sMashのソースを公開するとともに、ドキュメント、モジュールなど、利用者へさまざまな情報の提供を行っている。WebSphere sMashは、新製品の開発プロセスをこのサイトで公開し、フィードバックを得ながら開発していくという、オープンソースライクな開発スタイルをとりながら生まれた製品だ(だだし、ソースの改変はできない。ソースの所有はあくまでIBMとなる)。「Developer Edition」もここからダウンロードできるほか、リリース前のバージョンも提供される。

また、メッセージングと信頼性の高い製品を提供する、WebSphere sMashの拡張機能製品「WebSphere sMash Reliable Transport Extensions」も提供され、価格は28万6000円となっている。