NPO法人ファザーリング・ジャパンは6月11日、「父親が子育てしやすい会社アンケート」の結果を公表した。
同調査は、第一生命経済研究所の協力のもと、2008年4月から5月にかけて実施。従業員数301人以上の全上場企業2,264社を対象に同団体が送付した調査票の回収結果と、同団体のWebサイトで実施したアンケートの回答結果がまとめて集計された。調査内容は「労働時間」「休業制度」「出産・子育てサポート」「啓発活動等」の4分野にわたり、計40項目の実態を設問。アンケートの各項目を0から100点に換算し、各分野内の得点を合計した後、100点満点に換算した各分野の得点を合計して、総得点を算出し、ランキングを決定した。
集計の結果、日立製作所が前回に引き続き、総合1位にランクイン。同社では、育児休職期間として小学校1年終了時までの通算3年間が設けられており、取得回数の制限がないなど育児支援のための制度の充実ぶりが目立つ。また、1日4 - 7時間の育児のための短時間勤務制度や在宅勤務制度の利用期間が小学校卒業までに延長されている。同社の配偶者出産休暇は、5日間までで分割取得も可能とし、2007年度は前年比150%の約160人が取得したという。さらに、同社では社内ホームページ開設や、組合主催のフォーラム、財団主催による父親教室などの開催しており、啓発・研修分野で満点を獲得した。
2位の松下電器産業で、前年ランク外から大きく躍進。同社では男性のための多様な育児支援制度を導入しているのが特徴だ。配偶者出産、家族看護、学校行事への参加などを理由に年間5日間まで取得可能な「ファミリーサポート休暇」は、2007年度の利用者が約3,700名を数えたという。
3位以下は、NTTデータ、旭化成、ニフティ、マブチモーター、安川電機、沖電気工業、日産自動車、豊田通商の順にランクインした。
一方、今回アンケートに回答した企業の年間総実労働時間2,052時間で、前年の2,058時間に比べてわずかな減少に留まった。しかし、男性の育休取得の状況に関しては、取得ゼロ社数が前年の71%から49%に減少し、短時間勤務可能な子の年齢制限の平均が5.6歳から7.0歳に上昇、配偶者出産休暇の日数の平均が2.7日から3.3日に増加するなど改善が見られた。そのほか、男性社員が子育てしやすい会社にすることの効果として、73%が「優秀な人材の確保」と回答し、以下「士気向上」(67%) 、「ブランドイメージ」(64%)の順に高かった。