ノーテルネットワークスは、新サービスの迅速な導入やネットワークに対する投資効果の最大化を実現するネットワーク仮想化ソリューションを発表、同社内において製品に関する記者発表会を開催した。

ネットワークのシンプル化や50%以上のコスト削減効果

今回発表されたネットワーク仮想化ソリューションは、新製品であるマルチプルサービス仮想化スイッチ「Nortel Virtual Services Switch 5000(以下、VSS 5000)」および、レイヤー3スイッチ「Nortel Ethernet Routing Switch 8600(以下、ERS8600)」に、新しく「RSモジュール」4機種を追加した最新バージョン「ERS8600 R5.0」で構成されたものとなる。

マルチプルサービス仮想化スイッチ「VSS 5000」

4機種のRSモジュールが追加された10Gbit対応ルーティングスイッチの新バージョン「ERS8600 R5.0」

「ERS8600」のシャーシと今回発表された「RSモジュール」

VSS 5000は、サーバロードバランシング、ファイアウォール、侵入検知、Intelligent Traffic Management(ITM)、SSLアクセラレーション、VPNs(IPsec、SSL)、アプリケーション・オプティマイザーなどの各種ネットワークサービスをモジュール形式で選択できるマルチプルサービス仮想化スイッチだ。

VSS 5000は、各種ネットワークサービスをモジュール形式で選択可能

装置内部を複数の独立した仮想ラックへと分割し、それぞれ個別にファイアウォールやIDS、セキュリティ、VPN、SLBなどを導入することが可能。2Uサイズの単一プラットフォームながら、デバイスの統合やサービスの仮想化、複数サービスの即時編成、さらにはSDKによる他社製アプリケーションの追加にも対応している。

セキュリティ&アプリケーションインテリジェンス ポートフォリオ・リーダーのワッシム・タウビ氏

さらに、従来型のネットワークに比べスピーディに導入できるほか、導入および運用コストを50%以上削減できるのも非常に大きなメリットだ。例えば、従来はファイアウォールとVPN、IPS、SLB+SSL、アプリケーションオプティマイザ、トラフィックマネージャなどで約50万ドルを必要としていたが、VSS 5000を導入することにより約20万ドルにまでコストが抑えられるという。セキュリティ&アプリケーションインテリジェンス ポートフォリオ・リーダーのワッシム・タウビ氏は「この製品によりネットワークのシンプル化をはじめ、優れた拡張性と迅速な配備が可能になります」と語る。なお、最大スループットをはじめとした各種数値については現在検証中。SDKに関しては既存および新規アプリケーションの両方に対応が可能だという。

エンド・トゥ・エンドのネットワーク仮想化を実現

マーケティング プロダクトライン マネージメント シニア・プロダクト・ライン・マネージャーのロジャー・ラプー氏

10Gbit対応のルーティングスイッチ「ERS8600」には「8612XLRS」「8634XGRS」「8648GBRS」「8648GTRS」という4機種のRSモジュールを追加、新バージョン「ERS8600 R5.0」として発表された。これらは高密度なハードウェア性能とともに、ネットワークプロセッサユニットを通じた柔軟性を発揮、コストの最適化と最小化を実現するという。さらにIP-VPNベースのため、大規模ネットワークではVLANよりも効果的な仮想化が可能となっている。マーケティング プロダクトライン マネージメント シニア・プロダクト・ライン・マネージャーのロジャー・ラプー氏は「ERS8600 R5.0を用いることにより大規模ネットワークをシンプル化でき、エンド・トゥ・エンドのネットワーク仮想化を実現します」と語る。

同社が提供するエンド・トゥ・エンドのネットワーク仮想化ソリューション

多彩なネットワーク形態で利用可能

エンタープライズ営業本部 テクニカルセールス&マーケティング部長の犬塚昌利氏

さらに、エンタープライズ営業本部 テクニカルセールス&マーケティング部長の犬塚昌利氏からはVSS 5000とERS8600 R5.0を組み合わせた仮想化ソリューションの例も紹介された。ここでは、事業者のサービスメニューに直結したベース機能を提供する「データセンター向け」、統廃合に伴うバックボーンの強化や個別ポリシングに適した「キャンパス向け」、効率的なネットワークリソース利用ができる「エンタープライズ・エクストラネット向け」、高速セキュリティインスペクションや容易なネットワークサービス拡張に対応した「エンタープライズ・イントラネット向け」などを挙げ、さまざまな形態で活用可能な仮想化ソリューションであることをアピールした。

事業者のサービスメニューに直結したベース機能を提供する「データセンター向け」の活用例

統廃合に伴うバックボーンの強化や個別ポリシングに適した「キャンパス向け」の活用例

効率的なネットワークリソース利用ができる「エンタープライズ・エクストラネット向け」の活用例

高速セキュリティインスペクションや容易なネットワークサービス拡張に対応した「エンタープライズ・イントラネット向け」の活用例

今回発表された製品および仮想化ソリューションは、NECネッツエスアイ、英Toranet、加PCLなど既に各国の企業で早期導入が開始されているという。グローバル展開に関してタウビ氏は「これらの製品を4月末にラスベガスで開催された「Interop Las Vegas 2008」で発表した際には、ホスティングを手掛けるサービスプロバイダや、バラバラになっているソリューションの統合を求めるエンタープライズ企業などから多くの関心を集めました。さらに、2週間のヨーロッパツアーにおいても数百の大手企業とコンタクトでき大きな手応えを感じています」と、米国以外での展開も積極的に行われているようだ。なお、国内における製品販売は同社製品代理店を通じて2008年第4四半期に開始する予定。価格については現在のところ未定となっている。