硫化水素自殺が問題となる中、ヤフーなど検索サイト各社は、インターネット上の自殺情報に関する協議体制構築へ動き出した。具体的には、自殺関連情報が検索された場合、自殺に関する相談窓口や自殺防止の情報を掲載したサイトを、検索結果画面に表示するなどの取り組みを業界として行う。
協議体設立は、東京都がこのほど開いた、相次ぐ硫化水素自殺などへの対策を協議する「若者の自殺防止対策に関する検討会」の第2回会合で、ヤフー法務部長の別所直哉氏が明らかにした。
ヤフーは2006年から、政府の「自殺予防対策ネットワーク連絡協議会」の委員として参加。違法・有害情報の通報窓口である「インターネット・ホットラインセンター」のガイドライン検討委員会にも、同年から参加している。
また、検索サービスにおいて、「硫化水素 自殺」などのキーワードを入力した場合、検索結果表示画面に「自殺は防ぐことができる」との啓発文を表示させ、自殺予防総合対策センターのサイトに簡単にアクセスできるようにしている。
ヤフーでは、こうしたネット上の自殺情報への対策について、マイクロソフト(MSN)、NTTレゾナント(goo)と協議を開始。さらに、グーグル(google)を加えることについても、合意を得たとしている。
新たに設立される協議体では、ヤフーがすでに行っている、自殺関連情報が検索された場合、自殺に関する相談窓口や自殺防止の情報を掲載したサイトを検索結果画面に表示するなどの取り組みを、業界として行うことなどが想定されている。
東京都では10日、別所氏も参加した検討会の第2回会合での成果を踏まえ、「若者の自殺防止対策に関する提言」を発表。同提言では、自殺を直接的に誘引する情報の削除をISPなどに求めるとともに、検索サイトについては、「検索結果の表示の配慮が課題」と指摘。
その上で、ヤフーが行っている取り組みなどを一層促進するために、今回設立が明らかになった検索サイト各社の協議体と、東京都などの行政機関が情報交換を行う連絡会議の開催についても提言している。
マイクロソフトやヤフーなどは、インターネット上の違法・有害情報について、政府の規制よりも業界による自主的な取り組みを主張し、現在国会で審議されているネット規制法案にも反対している。今回の自殺予防に関する協議体設立も、そうした流れに沿ったものといえそうだ。