マイクロソフト、ヤフー、ディー・エヌ・エー、ネットスター、楽天のインターネット事業者5社は9日、ネット規制法案に反対する共同声明を発表した。6日に批判声明を出した日本新聞協会と同様、有害サイト審査に国が関与する余地を残していると批判。また、フィルタリングの義務付けに対しても、「情報遮断の強制」と激しく非難している。
5社はすでに、ネット規制法案に関し、「効果が薄い」「表現の自由を侵す」などの反対意見を表明。4月22日には、業界の自主的な取り組みを行うことで法律案の撤廃を求めていくべきとし、自民党政務調査会の谷垣禎一会長宛に文書で意見を提出している。
だが、6月2日には、自民党と民主党の両党の議員が中心となって法案の内容について合意。衆議院の青少年特別委員会に委員長提案の形で法案を提出、6日の衆議院本会議で賛成多数で可決された。
これに対し、日本新聞協会は同日、同法案に有害サイトの「例示」がなされていることについて「有害サイトの審査に国の関与の余地を残す」と批判。また、有害性を審査する第三者機関に関し、「国への登録」を可能とする規定が同法案にあることについても、同様の理由で非難していた。
今回共同声明を出した5社はこの2点に加え、18歳未満の青少年に対しフィルタリングを義務付けることについても、懸念を表明。
「フィルタリングは情報を遮断する道具ではなく、親権者に情報を管理してもらうための道具」とした上で、「法案は一律に情報を遮断することを想定しており、フィルタリングの強制である」と批判。
さらに、「フィルタリング強制は、フィルタリングの性格をゆがめるだけではなく、フィルタリングそのものの発展を阻害するものに他ならない」と激しく非難している。
こうした批判について、法案立案に関わった議員の関係者は私見と断りつつ、「法案は衆議院議員だけでなく与野党の参議院議員も話し合って決めたものであり、参議院でも法案自体の抜本的な修正はないのではないか」と話している。マイクロソフトやヤフーなどによる今回の共同声明が、参議院での法案審議にどのような影響を与えるかは不透明といえそうだ。