英国のBluetoothチップ大手ベンダCSRの日本法人シーエスアールは6月5日に東京で記者会見を開催し、Bluetoothチップの新製品「BlueCore 7」の概要を説明した。
BlueCore 7は多機能携帯電話機向けに開発したシステムLSIで、Bluetoothの無線送受信機能、低消費電力版Bluetooth「Bluetooth Low Energy」の無線送受信機能、FMラジオの送受信機能、GPSの受信機能を集積した。すでにサンプル出荷を始めており、2008年第4四半期には量産を開始する計画である。価格は公表していない。
記者会見で説明にあたるシーエスアールのジャパンセールスディレクター 深田学氏 |
新製品「BlueCore 7」の外観。ウェハレベルチップスケールパッケージ(WLCSP)に封止した。外形寸法は3.2mm×3.6mm×0.6mm。55個の端子を備える。端子ピッチは0.4mm。製造技術は90nmのRF CMOS |
「BlueCore 7」に集積した主要な無線機能。RFトランシーバも内蔵する |
CSRが現在市販しているBluetoothチップの一覧(BCはBlueCoreの略) |
BlueCore 7に8個の電子部品を外付けするだけでモジュールを構成できる(深田氏によると、「U1」はフィルタ、「L2」はレジスタ、「C3」~「C8」はコンデンサ。モジュールの大きさは5mm×6mmになる) |
Bluetoothの無線送受信機能は、バージョン2.1+EDR(v2.1E+EDR)に準拠した。データ通信速度は最大3Mbpsである。送信出力は+10dBm、受信感度は-93dBm。音声通話時の通話品質を固定電話並みに高める、ADPCM方式のコーデック「AuriStream」を搭載した。
Bluetooth Low Energyは、当初は「Wibree(ワイブリー)」、その後は「ULP Bluetooth(Ultra Low Power)」と呼ばれていた極低消費電力の無線データ通信技術仕様である。ボタン電池1個で動作させた場合に10年もの寿命を持つことを目標に策定された。BlueCore 7が搭載した通信機能は通信距離が約10m、通信速度が最大350kbpsである。
FMラジオの受信機能は過去に、BlueCore 5が搭載していた。BlueCore 7では、FMラジオの送信機能を加えた。携帯電話機を音楽プレーヤとして利用したときに、近くにあるFMラジオに音楽信号を送ってスピーカから出力させるといった使い方を想定した。送信周波数の調整機能を備えるようだが、調整範囲と送信出力は、記者会見では(説明役の深田氏が情報を有していなかったためか)明らかにされなかった。
GPS機能は,CSRが独自に開発した技術「eGPS(enhanced GPS)」である。携帯電話システムの基地局情報を利用することで測位に必要な時間を短縮し、また、屋内での測位を可能にした技術だ。