米Sun Microsystemsは6月4日(現地時間)、同社のサーバ/ストレージ製品ラインへのSSD(Solid State Drive)投入計画を発表した。特にハイエンドサーバやデータセンター環境において、パフォーマンスと低消費電力性を向上させる手段と位置付けている。投入時期は2008年後半を予定しており、同社では「2008年がSSD普及の"Tipping Point(転換点)"になる」とコメントしている。近年、コンシューマ向けノートPC製品を中心にSSDを標準搭載した製品が増えているが、ハイエンドサーバの世界でも米EMCがSSD製品投入を発表するなど、ITのあらゆるセグメントにSSDが浸透しつつある。
ASUS Eee PCなどのいわゆるNetbook系の製品やAppleのMacBook Airなど、ノートPCの最新トレンドといえるような製品でのSSDの広がりについて、いまさら多くを語る必要はないだろう。HDDに比べてバイトあたりの単価が高い、書き換え回数など耐久面での不安があるなどの欠点があるものの、その高速性や低消費電力性に着目すれば、それらデメリットを補って余りあるほどのメリットを享受できる。Sunは今回の発表において「従来のディスク回転型メディア(HDD)に比べて電力消費量が5分の1にも関わらず、そのパフォーマンスは3倍近い」とそのメリットを説明している。特に近年はグリーンITがベンダー間の共通テーマであり、これがセールスポイントにもなっている。DRAM+HDDの組み合わせよりも低消費電力というのが同社の主張だ。
「Flash SSDは今後10年間で(サーバ)システムとストレージの製品デザインに最も驚くべき革新を起こす存在となる。2009年半ばまでにはサーバの世界の主流となり、その容量はDRAMを凌駕し、システム全体のパフォーマンスと電力効率の面で大きなメリットをもたらす」と米Sun Microsystemsシステム製品部門エグゼクティブバイスプレジデントのJohn Fowler氏は述べている。SSDはサーバやストレージの設計、データセンターの展開手法を完全に変革するというのが同氏の意見だ。
なお同社によれば、ファイルシステムのZFS、データベースのMySQLなど、同社製ソフトウェアの多くがすでにSSD向けに最適化された「Flash Ready」の状態にあるという。Sunでは2.5インチまたは3.5インチの規格でSSDをリリースする計画で、既存のシステムにそのままSSDを展開することが可能になる。