米セレナソフトウェアおよびセレナソフトウェア日本支社は、同社の日本におけるSaaS事業を開始することを発表した。

同社では、Business Mashup日本語版を5月30日から、日本で販売を開始。サーバ導入型を5月30日から発売したのに加え、SaaS形式での提供を年内に開始する。さらに、プロジェクト管理およびポートフォリオ管理ソフトのSerena Marinerや、ALMツールのAgile Application Lifecycle Managementも、SaaS形式で提供する計画。

セレナソフトウェアは、アプリケーション開発プロセスの可視化と効率化するエンタープライズ向けALM(アプリケーション・ライフサイクル・マネジメント)を提供する独立系ベンダ。1980年に設立以来、これまでに全世界1万5,000社を超える企業に製品を導入。フォーチュン100社のうち、96社が導入しているという。2007年度の売上高は2億6,780万ドルとなっている。

日本市場においては、1992年から製品を販売。製造業を中心に600社の顧客を持つ。「昨年は、日本における投資を2倍に拡大し、新たにソリューションセンターを設立。「営業体制だけでなく、日本向けのソフトを作る基盤を確立した」(ボンバーニ シニアバイスプレジデント)という。

すでに、米国において、Web2.0型のアプリケーション構築を支援する「Business Mashup(ビジネスマッシュアップ)」をSaaS形式で提供しており、年内にはすべての製品をSaaS形式でサービスする計画を明らかにしている。

Business Mashuup画面

米セレナソフトウェアの概要

Business Mashupは、無償で提供されるマッシュアップ作成クライアントソフトのMashup Composer、マッシュアップを実行するためのアプリケーションエンジンであるMashup Server、実行環境のコンフィグレーションを行うMashup Administraor、実行環境の管理を行うMashup Managerで構成される。

ビジネスを継続的に効率化させるとともに、プログラミングスキルを持たないビジネスパーソンも容易に業務プロセスを構築することができるのが特徴。また、ビジネスワークフロー可視化することで、これまでトラッキングが難しかった各業務プロセスの情報共有が可能になるという。

米セレナソフトウェアのワールドワイドマーケティング担当シニアバイスプレジデント レネ・ボンバーニ氏

米セレナソフトウェア ワールドワイドマーケティング担当シニアバイスプレジデントのレネ・ボンバーニ(Rene Bonvanie)氏は、「Productivity(生産性)、Visibility(可視化)、Efficiency(効率化)の3つの観点から当社製品の優位性が発揮できる。Productivityでは、複数の場所にまたがり、同時に開発が行われている環境とともに、ネットワーク、サーバ、アプリケーションなどの選択肢が増え、アプリケーション開発そのものが複雑化しているという課題がある。また、Efficiencyという点では、企業のビシネス部門がIT部門に対して、業務プロセスのアプリケーション開発を依頼しても、ITリソースを効率的に活用ができないことから、開発されることなくロングテールとして累積されるといった問題がある。さらに、Visibilityでは、どこに投資を行い、どう人を配置するのかといったことを可視化することが求められている。Business Mashupは、こうした課題を解決でき、ビジネスパーソンが業務プロセスを構築できるという世界に変えることができる。企業にとって、大きな変革をもたらすツールとなる」とする。

セレナソフトウェアの3つの"観点"

米セレナソフトウェアの概要

また、セレナソフトウェア日本支社の川岸達之リードリサーチャーは、「ワークフロープログラムの導入により、生産性向上ととともに、監査に必要なログの管理も可能となり、コンプライアンスの実現にもつながる。J-SOXという観点からも有効なツールといえる」とした。

同社ではさらに、マッシュアップの作成と利用を加速させるコミュニティおよびオンラインマーケットのMashup Exchangeを2008年後半から提供する計画で、ダウンロードしたマッシュアップに変更を加え、カスタマイズ利用できるようにするほか、将来的にはマッシュアップをアップロードし、利用者から収益を得ることも考えているという。

日本支社の吉原邦夫支社長は、「これまで日本におけるALMの導入実績は、70%以上が組込系ユーザーに対するもの。Business Mashupの投入によって、こうしたユーザー層に加えて、新たな顧客に対する積極的なマーケティング活動を行っていく。コンサルティングパートナーや導入パートナーとの連携による販売を拡大する考え。今後、日本支社においては、セレナの全世界の10%以上の売り上げ構成比を目指したい」とした。

セレナソフトウェア日本支社の吉原邦夫支社長

セレナソフトウェア日本支社 川岸達之リードリサーチャー