NECエレクトロニクスとNECの中央研究所は3日、システムLSIの電源電圧変動(電源ノイズ)の抑制に用いるオンチップHigh-k MIM(金属-絶縁膜-金属)デカップリング容量を形成する技術を開発したと発表した。
同技術は、Cu配線の拡散防止膜であるTa膜の低密度化と、それを実現する低温プラズマ酸化技術を開発したことにより実現される。これにより、High-k材料(Ta0x)を350℃以下で実現することができるようになり、オンチップMIMデカップリング容量をCu配線上に形成することが可能となる。
また、TiN/Ta/TiN積層構造の平坦化下部電極では、下層TiN膜の凹凸をTa中間層でナノレベルまで平坦化したほか、耐酸化性の上層TiN膜を積層させることで、低密度Ta膜のプラズマ酸化を自己整合的に停止させることに成功している。これにより、特性バラつきや酸素欠損を抑制した高い品質のTaOx膜を大きなプロセスマージンで形成することが可能となった。
これらの技術を採用することにより、従来のSiN容量MIMと比べて単位面積当たりの容量値が2倍となる13fF/μm2を実現したほか、10年以上の耐用年数を確保できる可能性を実証した。
なお、NECエレクトロニクスでは、今回の開発成果について、45nmプロセス世代以降のシステムLSIの動作信頼性向上に貢献するものと考えているほか、高帯域無線信号や高速信号を扱うシステムLSIの高性能化や小型化にも貢献するものと期待しており、早期の実用化を目指して研究開発を進めていくとしている。