米Adobe Systemsは6月2日 (現地時間)、PDF文書の作成・編集・管理ソフトの最新版「Adobe Acrobat 9」を発表した。FlashビデオをPDFに組み込んだり、複数のドキュメントやマルチメディア・コンテンツを1つのポートフォリオに統合できるなど、従来よりもリッチなPDFファイルの作成が可能。製品ラインナップは「Acrobat 9 Pro Extended」(Windows : US699ドル)、「Acrobat 9 Pro」(Windows / Mac : US449ドル)、「Acrobat 9 Standard」(Windows : US299ドル)で、7月に英語/ フランス語/ ドイツ語/ 日本語版が発売される予定だ。またAcrobat 9の新機能をサポートする無償のPDFリーダー「Adobe Reader 9」(Windows/ Mac)が提供される。
Acrobat 9は、PDF/A-1、PDF/X-1a、PDF/X-3、PDF/X-4、PDF/X-4p、PDF/X-5g、PDF/X-5pg、PDF/E-1などの規格に対応する。Flash技術をネイティブサポートし、Pro ExtendedおよびProではFLVとH.264形式のビデオの埋め込みが可能。Acrobat 9またはReader 9を使って、PDFファイル内でビデオを再生できる。
Pro Extended/ Proでは「PDF Portfolio」という新機能を使って、ドキュメント、ビデオ、オーディオ、イラスト、電子メールなど、複数のファイルを1つのポートフォリオ (PDFファイル)に統合・圧縮できる。作成ステップは、まず用意されたテンプレートからレイアウトを選択するか、またはオリジナルレイアウトを作り、コンテンツをまとめて、ナビゲーションの方法を指定、ロゴなどを追加して出力する。ポートフォリオは目的に応じてサイズや品質を調整できるほか、オリジナルファイルを添付できる。
ハイエンド印刷やデジタル出版向けの印刷機能の向上もPro Extended/ Proの改善点の1つ。RGBやCMYK、Pantoneなどの間のカラー変換の信頼性が向上。Overprint Previewを通じてオーバーラップしているオブジェクトを正確に把握し、Compare Documentsでバージョン間の変更や修正を確認できるなど、プロセスに合わせて自動化された出力コントロールがエラーを削減し、コスト管理を手助けするという。
Pro Extendedは、幅広いビデオ形式のFLVへの変換、3DオブジェクトのPDFへの変換に対応。位置空間ファイルをインポートしてPDFマップを作成できる。PowerPointファイルにビデオやオーディオを追加し、インタラクティブなプレゼンテーションを作成できる「Adobe Presenter」が付属する。
Adobeはまた、Acrobat.comというオンラインサービスのベータ提供を開始した。ファイルの保管と共有、PDF変換、オンラインワープロ「Adobe Buzzword」、Webカンファレンス「Adobe ConnectNow」などの機能が用意されている。WebブラウザまたはReader 9からアクセス可能。グループ内でコミュニケーション機能を使い、同じページ上でリアルタイムに共同作業を行える。登録は無料。現時点の対応言語は英語のみだ。
なおAcrobat 9 Proは、2008年7月出荷予定の「Adobe Creative Suite 3.3」のDesign Premium、Standard、Web Premium、Creative Suite 3.3 Master Collectionなどに統合される。いずれのエディションもWindows版とMac版が用意される。