政府の教育再生懇談会はこのほど、小・中学生に「携帯電話は必要のない限り持たせない」などの提言をまとめた第一次報告書をまとめ、福田康夫首相に提出した。17日の前回会合では、「小・中学生の携帯所持そのものを禁止」とする案も出たが、委員で話し合った結果、「誤解を受けないような表現に落とし込んだ」内容となった。

教育再生懇談会は、安倍晋三前首相が設置した教育再生会議の議論を引き継ぎ、同会議が行った提言をフォローアップする目的で、福田康夫首相の下、設置された。前回の会合では、小学生、中学生の携帯電話使用について、「犯罪に巻き込まれているケースなどが多発しており、何らかの使用制限を設けるべき」との方向性について一致。

具体的な制限方法について、(1)携帯電話の所持そのものを禁止する、(2)機能を通話と居場所確認に限定する、(3)フィルタリングを義務付ける、の3つの案が提案された

だが、報道などで「小・中学生の携帯所持禁止」との表現が一人歩きしたことを委員らが懸念。「通学距離が長距離になる児童・生徒など安全面で有効に機能する面もある」との意見も出た結果、「必要のない限り小中学生が携帯電話を持つことがないよう、保護者、学校をはじめ関係者が協力する」との表現に落ち着いた。

ただ、必要と認められて携帯電話を持つ場合についての条件にも言及。「通話機能に限定したものが利用されることを推進する」と同時に、「機能を限定した携帯電話の開発と普及に携帯電話事業者も協力する」べきと明記された。

さらに、「小・中学生の携帯電話のフィルタリングのあり方について今後さらに検討する」とし、年齢ごとに閲覧制限の対象が設定されたフィルタリングの開発・利用を推進していくべきとも提言している。

教育再生懇談会担当室主査の久芳全晴氏は、「携帯が必要かどうかは最終的には親の判断になるが、今まであまりにも安易に子どもに携帯を持たせる例が顕著だった。今後はきちんと必要かどうかを判断してほしい」と話しており、今後、今回の報告書に沿った形で、総務省など関係各省庁による啓発活動が強化されることになりそうだ。