NECは26日、企業や官公庁のデータセンターに設置する大規模業務サーバやWebサーバシステムなどの構築に適した省電力サーバ「ECO CENTER」を製品化、販売を開始したことを発表した。出荷は6月末からを予定している。 価格は最大構成時(512コア/64サーバ)で3,990万円から、国内データセンタ6kW構成時(192コア/24サーバ)で1,350万円からとなっている。
同社は2007年11月に、ITプラットフォームにおける環境配慮への取り組みとして「REAL IT COOL PROJECT」を発表、今回の製品もその取り組みの一環となる。同社執行役員 常務の伊藤行雄氏は、「膨大な数の高性能サーバが企業内データセンタに集中することで、冷却、電力、スペースの問題が顕在化した。特に、データセンタ設備が集中する大都市圏近郊における電力の供給量不足は最大の課題となる」と語り、今回のECO CENTERの投入により、こうした課題を解決できるとした。
NEC 執行役員 常務 伊藤行雄氏 |
同製品は、高さ2mの専用のキャビネットに低消費電力のクアッドコアプロセッサ「クアッドコア Intel Xeonプロセッサ 低電圧版 L5420」を2個搭載した専用のモジュールサーバを64台搭載することで、最大512のCPUコアを実装することが可能。低消費電力のCPUのほか、低消費電力のチップセット、省電力メモリといった省電力技術を採用することで消費電力を抑えている。
また、出力制御の最適化や損失の少ない部品を採用することで変換効率89%を実現した電源を採用したほか、サーバボード上の部品の最適配置やケーブル配線エリア確保などによる冷却効率の改善(冷却用電力の削減)を図ることにより、消費電力を低電圧CPUを搭載した従来機と比べ待機時電力を最大55%、高負荷時の電力を最大28%削減することに成功している。
専用のモジュールはサーバ2台をセットにした構成を採用。専用のラックサーバは、64サーバ(512コア)搭載時で、2ラック分のスペースを必要とするラックサーバと比較して設置スペースを最大50%削減しているほか、モジュールにアルミ材を用いることで軽量化を図っており(1モジュールあたり5.3kg)、512コア搭載時で1キャビネットあたり、従来サーバ比58%の軽量化となる540kgを実現している。
さらに、ハードウェアのみならず、ソフトウェアの面でも省電力を実現する工夫が施されている。VMwareの仮想化基盤「VMware ESX 3.5」と、NECの統合プラットフォーム管理ソフトウェア「SigmaSystemCenter」を組み合わせることで、ハードウェアの負荷に応じて業務(アプリケーションサーバ)を最適配置することが可能となっている。これにより、負荷を平準化し、熱だまりを解消することができるようになるほか、負荷に応じて適正負荷レベルに仮想マシンを集約することが可能となり、余剰サーバの電源をオフにすることで、低消費電力化を実現している。
仮想化基盤としては、Citrix Systemsの「Citrix XenServer Enterprise Edetion」やMicrosoftの「Hyper-V」もサポートする予定。XenServerは現在、検証が進められており、7月末頃からの提供が予定されている。
同社では、今後3年間で500台のキャビネットを出荷する計画としており、1キャビネットあたり、20台強のサーバを提供していければ、としている。また、次世代ECO CENTER向けに、現在、さらなる低消費電力技術として高圧直流電源技術の開発や局所冷却への対応、SSDの採用などが進められている。
高圧直流電源技術は、電源設備およびIT機器の消費電力をトータルで10%削減することが可能であると同社では見ており、2008年から評価環境として限定的ながら提供を予定している。また、局所冷却としては、液冷を含めて検討を進めていくが、ノンフロン化が鍵となるとした。
なお、同社では、自社のアウトソーシングサービスの新プラットフォームサービス「RIACUBE」において、同製品の採用を予定している。