Where 2.0は、5分程度のデモと15分~25分の講演セッションで構成されていた。Googleのような企業でも持ち時間が25分と短いので食べ足りない気分になってしまうのだが、その代わりに数多くの会社に出会える。最後のレポートとして、主要企業以外のセッションと展示会場の様子をお伝えする。
測位精度のGPS、手軽なWi-Fiポジショニング
ロケーションがメイントピックとなった今回のWhere 2.0で、業界の悩みのタネの1つであり、ビジネスチャンスでもあったのがユーザーのロケーションの特定方法だ。
NokiaはOviを通じたマッピング・サービスを発表し、携帯電話をパーソナルナビゲーション・システムとして進化させる考えを示した。同社は2010年から2012年頃までには携帯電話は半数がGPS搭載になると考えている。Cell-IDやWi-Fiポジショニングといった技術の利用も計画しているが、GPSへの大きな期待が伝わってきた。
ただし会場では現状のGPSを評価しない声も多々聞こえてきた。不満点として、起動や反応の遅さ、消費電力、またナビゲーション向けにかたよった設計などが挙げられた。ソリューションの1つとして独自のGPS技術をアピールしていたのがGeotateだ。例えば写真のgeotag用ならば、位置情報だけで十分であり、ナビゲーションを実現するような機能は必要ない。GeotateのGPS技術はGPS受信機を用いて受信したGPS信号をメモリに記録するだけで、位置計算は行わない。あとでPCに接続して、PC側で位置を特定する。モバイル・デバイス側のGPSモジュールからベースバンド処理が省かれるため、反応時間が短く、また消費電力を抑えられる。
Wi-Fi SDカードのEye-Fiは、Where 2.0開始直前にgeotagを写真に埋め込む「Eye-Fi Explorer」を発表した。iPhoneでも採用されているSkyhook WirelessのWi-Fiポジショニング技術を利用している。展示会場では、ロケーションベースのコンテンツ・サービス「Loki」を組み合わせたデモを披露していた。
モジュール式のモバイルデバイスを開発するBug Labsは、CEOのPeter Semmelhack氏が「BUGでプラグラマブルなGPSをつくる」と題した講演を行った。ソフトウエアやサービスの変化にハードウエアがついていけないのが現状だと指摘。必要に応じてハードウエア(パーツ)を組み合わせて、柔軟に新たなデバイスを作り出すハードウエア・マッシュアップという考えを示した。例えばナビゲーションシステムにはGPSモジュール、カメラにはGeotateモジュールを組み合わせるという具合だ。ハードウエア・マッシュアップを実現するモバイルデバイスとしてBugの完成度が高いとは思えなかったが、アイディアとしては面白い。