自動車の部品や材料、テスト、CAEソリューション、カーエレクトロニクスなどの製品、技術が一堂に集う自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展 2008」が5月21日から23日までの3日間、パシフィコ横浜にて開催されている。
今回の展示会は出展企業数が392社と過去最高を記録。また、出展小間数も昨年の922小間から60小間増の982小間と大幅に増えている。主な展示ゾーンの区分は「自動車」「部品」「材料」「テスティング」「CAEソリューション」「カーエレクトロニクス」「R&D」となっており、ここではエレクトロニクス技術に関するものを中心にレポートしたい。
なお、特別企画として現代のクルマ、最新の技術に見合った運転操作、危険回避をテーマにした安全運転教室「最新 くるまの運転技術」、ならびに燃費向上、CO2排出量削減に関する製品、システム、基盤技術などを集めた「燃費をよくする最新技術」の2企画が行われているほか、四駆・二駆レーシングマシンコーナーとして、ホンダ・レーシング・エフワン・チームのF1マシン「RA108」など国内外で活躍する四駆ならびに二駆のレーシングマシンも多数展示されている。
自宅での充電が可能に
トヨタ自動車のブースは、プラグインハイブリッドカー(PHV)の実車展示を行っている。PHVは、従来のガソリンと電気のハイブリッドカーのバッテリ部分を外部電源から充電することを可能にしたもので、車体も従来のハイブリッド車をベースにして作られている。
バッテリの充電に特別なインフラは不要で、家庭用の100V電源からも充電することが可能だ。この場合、3~4時間でフル充電が可能になるという。また、200Vで充電した場合は1時間程度で充電が終わるという。
2次電池は、6.5AhのNiH(ニッケル水素)を2個使用しており、定格電圧は202Vとなっている。PHVの実用化を進めるためにはバッテリをリチウムイオン電池に変更することにより、電池の最適サイズ化とコストの最適化を行う必要があるが、同バッテリは現在、実用化に向け研究開発をしている段階にあるという。
PHVは2007年7月に国土交通省から大臣認定を取得、日米欧で実証実験を開始している。現在のEV走行可能距離は13km(10・15モード走行)で、走行可能最高速度は100km/hである。
なお、同社では、内燃エンジンの改良も合わせて進めており、新技術を織り込むことで2010年までにエンジン、トランスミッションを一新するとしている。
実用化に向けた開発が進むSiC
デンソーでは、ハイブリッド車に向けた環境配慮型の補機バッテリ充電用DC/DCコンバータを出展していたほか、シリコンカーバイド(SiC)を用いたパワー素子の参考出展を行っていた。
補機バッテリ充電用DC/DCコンバータは、トランスとチョークコイルを統合した複合2トランスを用いた独自の電力変換回路を採用することで、同期整流による損失の低減および磁器部品の小型化を実現している。
SiCは、従来用いられているSi基板製のデバイスに比べ、高温、高耐圧、高周波性能といった特長を持つことから、低損失の電力変換デバイスや高周波デバイスといった次世代のパワー素子として注目を集めている。
同社では、SiCのウェハを自社で製造しており、現在では、75mm(3インチ)サイズのウェハで、マイクロパイプ欠陥を完全になくすことに成功し、結晶欠陥密度も1平方センチあたり数百個と世界最小クラスを実現しているという。
現在は100mm(4インチ)ウェハを開発中としているが、実際の量産展開にはさらなるウェハの大型化が必要としており、2015~2020年頃の商用展開を目指すとしている。