マイスペースは20日、55,000組のアーティスト/クリエイター支援戦略およびオフィシャル・パートナーシップ発足についての記者発表会を行った。「MySpace」に登録するアーティストから新たな才能の発掘や育成、コンテンツの創造を支援し、同時にパートナーとのビジネス活性化を目指す。

マイスペースは、55,000組のアーティスト/クリエイター支援戦略およびオフィシャル・パートナーシップ発足を発表した

コンテンツを"流す"場から"創る"場へ

マイスペース 代表取締役社長 大蘿淳司氏

はじめにマイスペース(日本法人)の代表取締役社長大蘿(たいら)氏より、MySpaceの現状と今回のプロジェクトの概要が発表された。大蘿氏は「エンタメに特化したSNSであることを活かして、MySpaceをベースにコンテンツが生まれてくる環境を作りたい」と意気込みを述べた。

MySpaceのユニークユーザは2008年3月時点で1億1,700万人(ComScore調べ)、MySpace Japanでは今年1月と比べると現在のユーザ数は約3割増加している。アーティスト/クリエイター登録数は全世界で約800万組で、日本国内では約55,300組、さらに毎月3,500組以上が新たに登録している。

MySpaceを基盤に活動を広げるアーティストの事例が日本でも起きており、アマチュア/インディーズからメジャーデビューを決めた「たむらぱん」や「Sweet Vacation」、またメジャーアーティストでも、海外進出を果たした「POLYSICS」や「X JAPAN」などの例が紹介された。

こうした事象の活発化においては、オープン型であるため検索に有利でリーチが広い、"フレンド"数に上限がない、音楽・映像がバイラルで広がる仕組みなど、MySpaceの持つ特徴がその背景にあるとした上で、「本当にすごいのは、ユーザーが感想・応援・励ましなど、(コンテンツを)聴きながら感動を共有することができている。さらに、それによってアーティスト自身が新たな創作意欲を得て、良いものができるという好循環が起きていること」(同氏)だと強調した。

こうした流れを受け、現在個別に起きている事象を「もっと太い流れ」(同氏)にすることを目的に、今回のオフィシャル・パートナーシップが発足した。分野を問わず趣旨に賛同する企業と連携し、新たな才能の発掘・育成を支援、コンテンツの創造とビジネス拡大を目指す。また、海外へのクロスプロモーション展開や、ライブ中継、コンテンツ販売まで含めた全方位の支援を整備する。

現在のオフィシャル・パートナー企業は、メジャー/インディーズのレーベル、CDショップ、放送メディア、ライブハウスなど33社。この他、約20社と交渉を進めているとのことだ。大蘿氏は、これによって「エンタメ業界全体が活性化し、ビジネスそのものが拡大することを期待しており、パートナーとの取り組みで実現していくと思う」と述べた。

オフィシャル・パートナー企業との取り組み事例

続いて同社マーケティング部エグゼクティブプロデューサー後藤氏より、このプロジェクトにおいて現在進行している企画が紹介された。

HMVジャパン
HMVオンラインとHMV渋谷の10周年記念プロモーションとして、インストアイベントや共同のライブ開催などを行う。またMySpaceにおけるCD/DVD販売のアフィリエイトや、マイスペース主催イベントのHMVでの宣伝協力などを実施する。

イクスピアリ
「fine thank you」レーベルにおけるMySpace登録アーティストのコンピレーションCD制作、企画・宣伝協力。Club IKSPIARI開催ライブのオープニングアクト出演者コンテスト等による出演協力など。

フォーライフミュージックエンタテインメント
BENNIE K ベスト盤収録曲について、プロダクションI.G制作のキャラクターを用いてのミュージックビデオコンテストを実施、スペースシャワーTVやライブツアーで上映する。また、映画「クローズZERO 2」の出演者およびサントラ収録曲のアーティストを募集。

ブイキューブ
テレビ会議やオンラインセミナーなどにASPで提供されているる同社のビジュアルコミュニケーション技術を、アーティストのプロモーションツールとして導入。特別な設備を必要とせずに、アーティストが自分でライブ中継などを行える。

またこれらのパートナー企業代表者からは、今回のプロジェクトについての意気込みや期待が述べられた。

HMVジャパン 代表取締役社長 雨宮雄一氏「アーティストとファンを繋ぐ場として、MySpaceと組んで音楽・映像の情報発信を行いたい」

イクスピアリ ライブハウス事業部 Club IKSPIARI支配人 竹川潤一氏「MySpaceもライブハウスも"人"につながっていることを大切にしていきたい」

フォーライフミュージックエンタテインメント 宣伝本部 宣伝部 部長 関光志氏「MySpaceとの仕事はスピード感があり、いろいろな可能性がある」

ブイキューブ 代表取締役社長 間下直晃氏「アウトプットの場を提供することで、よりレベルの高いコンテンツが集まってくるのでは」

会見の最後には、MySpaceで活動を開始し今夏メジャーデビューを決めた「Sweet Vacation」によるライブが行われた。

活動開始時には「迷うことなくMySpaceに登録した」というDaichi(右)、「世界中にファンができてうれしい」というMay(左)。ここでは2曲を披露した