日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は5月19日、ITシステムの統合ログ管理のためのアプライアンス製品およびコンサルティング/システム構築サービスの提供を開始した。日本版SOX法(J-SOX法)などで求められる内部統制強化のための証跡管理などの用途にも対応する。

ログ管理アプライアンス「HP Compliance Log Warehouse(HP CLW)」は同社の2UラックマウントのItaniumサーバ「HP Integrity rx2660」にRed Hat Enterprise Linuxおよび米SenSageの統合ログ管理ソフトウェア「SenSage Enterprise Security Analytics」を組み合わせてアプライアンス化したもの。1ノード構成時の参考価格は1,785万円から。出荷開始は6月中旬の予定。

ログ管理アプライアンス「HP Compliance Log Warehouse」

システム規模に応じてクラスタ構成で利用でき、ログデータを分散化/冗長化して保存できる。ログの保存はログデータ専用にチューニングされたデータベースを使用し、少ないストレージ容量で大量のログを保存できる。典型的には、生ログデータの1/10の容量で済み、冗長化を行なった場合でも1/5の容量となる。一般的なRDBMSでログデータを保存した場合にはオーバヘッドの発生によって生ログデータの2~10倍の容量を必要とすることから、同社ではCLWのログ保存容量についてRDBMS比で最大1/40としている。

提供される統合ログ管理ソリューションのメリット

統合ログ管理ソリューションの対応範囲

また、主要な14種類のログ形式に標準で対応するほか、「Log Adapter」のカスタマイズによって「テキスト形式のログであれば何でも」対応できるという。ログ出力元のサーバにはエージェントなどのインストールは不要。さらに、ログの収集だけでなく分析/レポート機能にも対応し、J-SOX対応のレポートが標準で26種類用意されている。

統合ログ管理のシステムアーキテクチャ

CLWの導入に合わせ、コンサルティングサービスも追加される。「統合ログ管理コンサルティングサービス」は、統合ログ管理の方針策定から要件定義までの上流コンサルティングを提供するもの。作業全体を「計画フェーズ」と「設計・構築フェーズ」に分けた場合の計画フェーズに対応するサービスとなる。サービスの提供機関は約3カ月を想定する。

また、「統合ログ管理システム構築サービス」はユーザー企業に実際に統合ログ管理システムを構築するサービスで、設計・構築フェーズに対応する。本サービスではCLWおよび統合ログ管理コンサルティングサービスとの併用が想定されているが、単体での提供も可能だという。

まず挨拶を行なった同社のエンタープライズストレージ・サーバ事業統括 BCSビジネス本部 本部長の上原宏氏は今回の発表について、「製品、コンサルティング、サービスのすべてを一貫し、HPが自信をもって提供できるソリューション」だと位置づけた。また同氏は、J-SOX対応が事実上スタートした後のタイミングになってからの製品投入という点について、J-SOX対応が情報先行型で、企業での対応が現時点ですべて完璧に整っているとはいえない状況である点を指摘し、ログ管理ソリューションに対するユーザー企業の要望が根強くあること、これまで個別に提供してきたものを総合的なソリューションとしてまとめたものであるとしている。

日本ヒューレット・パッカード エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 BCSビジネス本部 本部長 上原宏氏