大日本印刷は、大津市、義仲寺の伊藤若沖筆「花卉図天井画」のデジタル再製画を制作したことを発表した。義仲寺の翁堂に掲げられていた伊藤若沖筆「花卉図天井画」は、経年による染みや汚れ、絵具層の剥離・剥落が発生し、平成18年には剥落止めや汚れ除去等の処置が行われていた。その後の検討の結果、今回、さらなる劣化・損傷を防ぐために原画を別途保存し、複製画を展示する運びとなった。
今回の再製画制作は、若沖研究の第一人者である同志社大学文化情報学部の狩野博幸教授監修のもと、DNPメディアクリエイト関西「匠プロジェクト」が担当した。板材へのデジタル複製は、同社でも初の試みだという。
再製画制作の方法としては、原本を現状のまま忠実に再現するという「現状再製」方式を採用。また、画像取り込みには、レンズ収差が少ない安定したカラーバランスの画像データが取得できる「非接触高精細スキャニング方式」が取り入れられた。
さらに、出力には同社とメーカーが共同開発したプリンタが採用され、超高精度印刷で原本の色調・階調・筆致・筆勢を忠実に再現することに成功したとのこと。板材においても印刷再現性・耐光性・耐水性に優れたオリジナル板材が採用され、インキには約90年の耐久性を保持するという超耐光性顔料インキが使用された。印刷後に、耐水・耐光加工処理も表面に施されている。なお、今回制作されたデジタル再製画の裏面には将来の真贋問題を考慮してクレジットが印刷してある。