Microsoftの撤退によって一度は収束したYahoo!買収戦が、米著名投資家Carl Icahn氏の介入によって再燃し始めた。Yahoo!株の約4%を取得した同氏は米国時間の5月15日に、Yahoo!のチェアマンであるRoy Bostock氏に委任状争奪戦へ乗り出す計画を伝える書簡を送り、その全文を公開した。書簡に記されたIcahn氏が推す10名の取締役候補リストにはJohn Chapple氏やMark Cuban氏などが含まれており、一部の報道では"ドリームチーム"と形容されている。
Icahn氏は、Microsoftの1株あたり33ドルの買収提案を「Yahoo!が検討してきた全ての可能性を上回る条件」と評価。「経営陣の過度に楽観的な財政見通しを押しつけるのは無責任である」と、Yahoo!取締役の一連の対応が株主からの信頼を失う行動だったと非難している。その上で「私および多くの株主は、Yahoo!とMicrosoftの組み合わせがダイナミックな企業を生みだし、インターネット分野においてGoogleと競争するのに十分な存在になると強く信じている」と述べている。同氏がYahoo!株取得に乗り出したのは、過去数週間の間に多数のYahoo!株主から、Microsoftとの合併交渉を成功に導く取締役任命に向けた委任状争奪をリードするように依頼されたためだという。現在同氏は約5900万のYahoo!株を保有している。
7月の株主総会で株主からの賛同を取り付けるために、同氏がまとめた取締役候補は以下の10人。
Lucian A. Bebchuk: コーポレート・ガバナンスを専門とするHarvard Law School教授
Frank J. Biondi, Jr.:Universal Studios、元会長兼CEO。WaterView Advisorsのシニアマネージングディレクタ
John H. Chapple:Nextelを創業しCEOに。Hawkeye Investments社長
Mark Cuban:NBAのDallas Mavericksのオーナー。2001年にHDNetを設立
Adam Dell:Impact Venture Partnersのマネージングジェネラルパートナー
Carl C. Icahn:Icahn Capital、CEO
Keith A. Meister:Icahn Enterprises、プリンシパルエグゼクティブオフィサ
Edward H. Meyer:Ocean Road Advisors、会長兼CEO
Brian S. Posner:著名な個人投資家。ClearBridge Advisorsの元CEO
Robert K. Shaye:New Line Cinema創設者、共同CEO
Icahn氏はMicrosoftとの合併を強く推しているものの、Microsoft側は撤退の姿勢を貫いているのが現状だ。今後はIcahn氏のグループが、Microsoftに再考を促すのに十分な支持をYahoo!株主から得られるかが注目点となる。
同じくIcahn氏が関与したMotorolaの経営再建策のケースでは、Icahn氏側とMotorola側が和解し、Icahn氏側が推す役員と経営案が取り入れられた。Microsoftの動き次第では、同様にYahoo!とIcahn氏側の和解で決着する可能性もある。