NECフィールディング 取締役執行役員 常務 伊藤雅明氏

NECフィールディングは、2007年度連結決算を発表した。

売上高は前年比0.7%増の2,141億円、営業利益は7.5%増の88億円、経常利益は9.7%増の93億円、当期純利益は13.5%増の50億円となり増収増益。「3期連続の減収減益から、増収増益に転換することができた」(NECフィールディング 取締役執行役員常務 伊藤雅明氏)とした。ITベンダ各社との協業や、ソフトサポートおよび運用サポートサービスなどの注力領域での伸張、保守/修理サービスといった既存領域における増収効果があったという。

同社は、NECが67%の株式を保有する子会社で、ITシステムの保守、運用サポート事業を行う。NEC製品のほか、ユーザーのマルチベンダ環境にあわせて、NEC以外の製品の保守、運用支援も行う。

領域別売上高

セグメント別売上高

ITシステムの保守事業を中心とするプロアクティブメンテナンス事業の売上高は、前年比4.2%増の977億円、営業利益は10.2%増の121億円。NECインフロンティアシステムサービスの連結子会社化による増収効果のほか、継続して取り組んでいる保守部材費低減活動や保守専任化による作業工数の低減などが増益効果につながった。

同社では、保守事業革新戦略を策定。NECと連携した保守契約率の向上とSLA方式を導入した新たな保守取引の促進などのほか、NECインフロンティアシステムサービスとの連携によるデータ/音声統合ネットワークのワンストップサービスの実現に取り組んでいるという。

ITシステムの導入支援、ネットワークシステム構築、ワンストップ型のシステム運用サポートなどを行うフィールディング・ソリューション事業の売上高は、前年比2.0%減の1,163億円、営業利益は6.3%減の55億円となった。付加価値の低い物品販売および工事案件の精査、前年の大型案件に反動などによる減収要素、子会社設立などによる先行投資などが影響している。

だが、プロアクティブ・メンテナンス事業の基盤を活用しつつ、システム全体の保守、運用へ対応領域を拡大させ、ワンストップ対応を目指す「システムアフターサポート拡大戦略」と、全国400カ所にのぼる拠点による顧客接点の強みを生かした「フィールディング・ソリューション既存領域拡大戦略」を推進しており、「2008年度はフィールディング・ソリューション事業の増収を計画している」という。

システムアフターサポート拡大戦略では、LCM推進のための専任部隊を組織化し、要員育成や業種別サービスメニュー体系の整備を行い、NECと連携した受注活動の強化を図っている。また、フィールディング・ソリューション既存領域拡大戦略では、NECの国内営業グループと連携しながら、全国拠点の活用による中小企業向け市場への事業展開と、大企業が集中している首都圏の営業体制を強化。マーケット規模別に密着した営業活動を行うという。

2008年度の事業計画に関しては、「2007年3月期をボトムに、増収増益軌道を定着させ、堅実で安定した成長の実現」を掲げ、保守事業革新戦略、システムアフターサポート拡大戦略、FS既存領域拡大戦略、経営基盤強化戦略に取り組み、売上高は2.7%増の2,200億円、営業利益は3.8%増の96億円、経常利益は6.9%増の100億円、当期純利益は3.1%増の52億円を見込む。そのうち、プロアクティブメンテナンス事業の売上高は、前年比1.3%増の990億円、フィールディング・ソリューション事業の売上高は4.0%増の1,210億円を見込む。「保守事業規模の堅持、ハードウェア保守からシステム全般の保守や運用へとサポート範囲を拡大。さらにはNECグループとの連携強化によって、成長戦略に取り組む」とした。

2008年度売上計画

2008年度経常利益計画

2008年度主要経営指標

同社では、昨年4月に法人会員制インターネットシッョプの「いーるでぃんぐ」をスタート。中小規模システムのサーバ運用を監視する「WebSAMオフィス監視サービス」を開始。さらに、今年2月には、BCP(事業継続計画)の強化と保守・運用サポートでの窓口業務の強化を目的に、次世代コールセンター網の構築を開始。2009年度上期を目標に、全国17カ所に分散しているコールセンターを、4カ所に集約する取り組みを開始している。

また、システムライフサイクル全般を支援するLCMサービスの拡大のほか、NECが推進している「REAL IT COOL PROJECT」の一環として、データセンターやマシンルームに関わる環境の調査から運用に至るまでの省電力ファシリティサービスの提供、2月には中国・北京にSI・販売保守事業会社を設立し、中国におけるビジネス拡大の基盤を確立しており、こうした各種施策が、来年度以降の業績にプラス効果となることを期待している。

NGNを支えるVoIPおよびセキュリティソリューションの強化、1000人規模のアドバンスドCEの育成拡充によるソフトウェア技術の強化なども強みにしていく考えだという。

「今後も引き続き、ダントツなCSナンバーワン、CSRで業界トップランナーへ、システム保守・運用に向けたソフト技術力を有する人材育成の3点を、経営基盤強化戦略に掲げ、体制を強化していく」とした。