"企業乗っ取り屋"で名を馳せる人物が次なるターゲットとしたのは、米Microsoftとの買収攻防戦を繰り広げる米Yahoo!だった - 億万長者で投資家のCarl Icahn氏が米Yahoo!株式の約3.5%にあたる5,000万株ほどを取得したことが13日(現地時間)にわかった。米Wall Street Journalを含む、複数の報道機関が同件に近い筋の情報として伝えている。Icahn氏は業績や株価の低迷する企業の株式を大量に買い集め、大株主として経営陣の刷新や企業改革を矢継ぎ早に要求するなど、物言う株主として企業経営陣らに恐れられている人物。今回もMicrosoftによるYahoo!争奪戦に参加することで、Microsoftへの買収交渉再開やYahoo!経営陣への企業売却要求などを行い、Microsoftが以前に提案した1株あたり31ドルまたは33ドルでのYahoo!買収を実現することが狙いとみられる。
米Yahoo!は7月3日に株主総会を予定しており、委任状争奪戦の前段階にあたる取締役推薦締め切りが5月15日に迫っている。大量株取得で委任状争奪戦へと参戦し、MicrosoftならびにYahoo!経営陣を再び買収交渉の席へと着かせ、同氏の取得したYahoo!株価よりも高値でMicrosoftへの売却を誘導するのが目的と考えられる。Icahn氏が争奪戦に参加の意向を示したとの米CNBCの報道を受け、13日の取引でYahoo!株は急騰、前日比5.15%アップの26.56ドルで取引を終えている。一方で同日の時間外取引では急反転、6.44%下落の24.85ドルとなっている。
幅広い業界をテリトリーとするIcahn氏だが、最近では特にIT企業のターゲットが増えつつある。ITバブル崩壊、サブプライムを発端とした米景気後退で好業績企業と低迷企業の2極化が進行しつつあるなか、優良資産を持つ名門企業の改革や、ライバルへの買収打診など、同氏の活動に適した素地が出来つつあることが理由だろう。直近では、米Oracleによる米BEA Systems買収、米MotorolaのCEO交替や携帯事業分離などは、Icahn氏が取引に直接関与している。またつい数日前には、業績低迷から身売り説が出ている電気製品小売り事業者の米Circuit City買収候補として、レンタルビデオ事業者最大手の米Blockbusterに加え、やはりIcahn氏の名前が挙がっていた。