NECは、指紋と血管の2種類の生体情報を一度に読み取り認証可能な「非接触型マルチモーダル認証技術」を開発したと発表した。NECによると、同技術の開発は世界初とのこと。

非接触型マルチモーダル指認装置(試作機)

新技術により利用者の使いやすさと精度を両立させたバイオメトリクス認証が可能となり、活用領域がさらに拡大するという。また今後は、入退室管理装置やキオスク端末等の業務用機器への組込み用途向けに製品化を進めていくとしている。

なお、16日まで開催中の「第11回 組込みシステム開発技術展」において試作機を参考展示中だ。

新技術の主な特徴は以下の通り。

単一動作での認証

従来のマルチモーダル技術では、例えば指紋の認証後にサイン認証を行ったり、顔の認証後に虹彩認証を行うといった複数の動作が必要だったが、新技術では一度の動作で指紋と血管を読み取り、認証も同時に可能。これにより利用者の利便性を向上するとともに、複数の装置を必要としないため、システムの構成を簡略化できるという。

抵抗感の軽減

非接触型指紋読み取りと血管読み取りの能力をあわせ持つハイブリッドセンシング技術により、指を装置にかざすだけで指紋と血管を同時に読み取り可能なため、認証機器への指の接触に抵抗を感じる利用者に対して使いやすい機器を実現可能。

認証制度の向上

NEC独自開発の指紋認証アルゴリズムをベースに、同社中央研究所が開発した血管認証アルゴリズムを加え、フュージョン照合(複数のアルゴリズムから得られる照合結果を複合的に利用し、より効果的な照合を行う技術)させることにより、認証精度を向上。

手のひら等にも応用可能

指紋と同様の皮膚紋様(隆線)と血管がある生体部位であれば適用可能であり、指だけではなく手のひら等にも適用可能。これにより、例えば1つの装置で指と手のひらの2つの部位に対応する認証装置を実現できる。