ベストロンは、中小企業および会計事務所向けSaaS型サービスとして「ベストロン・アイ・スイート(BiS)」を発表。第1弾として、会計ソフトの「i会計」の提供を開始した。一般販売業、製造業などの会計業務に対応したもので、日計表、仕訳帳、総勘定元帳、消費税元帳、入力伝票一覧などを出力できるほか、勘定科目、詳細科目、銀行、社員、取引先管理が可能になる。今後は、人事給与、顧客販売管理、グループウェア、文書管理などにもサービスを広げていく考え。

最大の特徴は、SaaSの特性を生かし、パッケージ版に比べて大幅な低価格を図っている点。「ソフト保守料を含めると年間数10万円の出費を強いられていた例もあったが、i会計では年間使用料は中小企業ならば3 - 4万円、中堅企業なら5 - 6万円で済む。また、導入部分における投資費用を抑える仕組みを採用しており、ID登録料は1IDあたり3,000円、会見処理月次基本料800円で開始できる」(ベストロンソリューションビジネス事業部 了戒卓取締役)としている。

ベストロン 二井恒仁朗社長

ベストロン ソリューションビジネス事業部 了戒卓取締役

二井恒仁朗社長は、「BiSの特徴は、簡単、安い、早い、そして保守の手間がないという4つのポイントに尽きる」として、簿記に不慣れな人でも、ATM端末操作の感覚で、容易に会計データ入力が可能な「かんたん取引入力」、SaaS方式による使った分だけを支払う制度による料金制度の導入、オープンソースフレームワークであるFlex 2.0を活用することで、SaaSにありがちな入力時のストレスを感じさせない環境としている点、そして、保守の手間がないという点では、サーバ側でバージョンアップすることで最新の環境に強化できるSaaSならではの特徴を示した。

ペストロン ソリューションビジネス事業部商品開発部 新屋清信部長

「領収書や請求書などの伝票や名刺のデータをスキャナで取り込む方法を採用し、入力操作の簡便さを実現している」(了戒取締役)ほか、「かんたん取引入力では、操作メニューを大きなアイコンで表示。わかりやすいガイドに従って、選択ボタンをクリックすることで仕訳を自動的に行える。IT知識も、簿記の知識がなくても操作でき、誰でも月次の収支把握ができるようにしている」(ソリューションビジネス事業部商品開発部 新屋清信部長)という。また、タブレットPCを利用することで、タッチパネルを活用した操作も可能としている。

サーバ側では、ベストロンが直接運営するデータセンターである「Bestron SaaS Center」を活用。ひとつのサーバで複数のユーザーが利用するマルチテナント方式によって、効率的な運用環境を実現しているという。Bestron SaaS Centerの稼働時間は、当面は、平日の午前9時から午後9時までとし、順次、24時間365日体制へと移行する予定。

「かんたん取引」入力画面

「Bestron SaaS Center」の概要

料金体系は、月次元帳明細の上限を150行以内とする「新規開業コース」、同じく300行以内とする「スモール・コース」、900行以内とする「ミドル・コース」に分かれており、価格設定は以下の通り。

コース ID登録料 会計処理月次基本料
新規開業コース 3,000円 800円
スモール・コース 5,000円 1,800円
ミドル・コース 5,000円 2,800円

どのコースも、基本マスターの登録料として、会計、人事給与などのシステムごとに3,000円が必要になるほか、月次のID維持管理料が1Dに付き、月額500円かかる。また、元帳明細が1行オーバーするごとに1行10円(新規開業コース)が従量課金される。スモール・コースは、1行あたり7円、ミドル・コースは1行あたり5円の課金となる。そのほか、データ保存料として、年間1万円、証憑イメージ保存料が年間1万円かかる。ぞれぞれ1GBが上限となり、超過分は1GB単位で年間5,000円が課金される。

ベストロンでは、約2年からSaaSモデルの研究開発を開始しており、米国での先進事例などを参考にしてきたという。「昨年4月にソリューションビジネス事業部を立ち上げ、事業化に向けた準備を進めてきた。設立以来17年間に渡るシステム開発実績やシステムソリューション事業の実績を背景に、サービスを開始する」(二井社長)としている。

米国の事例を参考にしながら、開発には2年をかけた

同社では、まずは3,000社への導入を目指す考えで、「全国432万社の中小企業や、今後増加するであろう団塊の世代の起業をはじめとする新規開業企業などの経営者への導入を図るほか、中小零細企業向けの簡易な入力システムを求めている会計事務所などを対象に利用者を獲得していきたい」(了戒取締役)としている。