ロームは、LSI内部のデータ記憶領域に不揮発性のロジック回路を組み込んだLSIの開発に成功したことを発表した。
ロジック系のLSIは、さまざまな処理に関する経緯や結果に関する情報を一時的に保持したり、LSIや周辺機器の動作状態を保持・変更する演算処理の状況保持回路(レジスタ)を持っているが、一般的なロジック系LSIでは、一度電源が切られると、レジスタに保持された演算処理状況は消滅してしまうため、記憶保持に電流を流し続ける必要があった。
今回開発されたLSIでは、強誘電体素子に新開発の強誘電体セパレート構造を採用することにより、ロジック回路の負荷容量を抑え、性能と信頼性を損なうことなく、レジスタ領域を不揮発化することに成功、電流を流さなくても演算処理状況を保持することを実現した。
この技術を用いた場合、例えば、ゲーム機用のCPUを置き換えた場合、CPUの消費電力を約70%削減できることが確認された。また、情報の書き込み/読み出しを行うブロック以外をスリープモードにするなどの設計変更を行うことで、CPUの消費電力は85%以上削減可能としている。さらに、ブロック内部のレジスタ・演算回路レベルで細かく電源のオン・オフを管理すれば、CPUの消費電力を95%以上削減することが期待できるとしている。
なお、同社では、強誘電体を用いた不揮発ロジック技術を応用したカスタムLSIについて、顧客への提案活動を進め、1年後を目標に量産化したいとしている。