エルピーダメモリは24日、2007年度第4四半期(2008年1~3月)および通期業績を発表した。

同四半期の業績は、Rexchip Electronicsでの計画を上回る実績を中心に想定した出荷ビット成長率(20%)を上回る33%の成長を達成したものの、PC向けDRAMの価格下落(ASP変動率は前年同期比で63%減)、およびプレミアDRAM分野におけるXDR DRAMの需要減少などにより、売上高は前年同期比37.3%減の904億円、営業損益は259億円の損失、純損益は292億円の損失となった。

損失に関しては、在庫評価損50億円弱や貸倒引当金26億円、Rexchip持分方損失11億円、為替差損21億円などの影響もあったという。

PCやサーバ向けのコンピュ-ティングDRAMの比率は前四半期比13ポイント増となる51%となり、委託先生産分売上高比率は同3ポイント減となる19%となった。

アプリケーション別売上高構成比

一方、通期の業績は、ノートPCを中心とした需要の堅調な推移により、ビット成長率は前年度比102%と大幅な成長を果たしたものの、PC向けDRAMを中心とした供給過剰による価格下落などの影響により売上高は前年度比17.3%減の4,055億円、営業損益は前年度の684億円の利益から249億円の損失へ、純損益も前年度の529億円から235億円の損失へとそれぞれ転落した。

2008年度のビット成長率は、第1四半期(4~6月)が前四半期比で15~20%、通期では前期比約70%を見込んでいる。また、2008年度の設備投資はRexchip分を含め、1,000億円を予定しており、広島エルピーダの生産能力増強やプロセスの微細化、R&D用装置の導入などに充てられる予定だ。

設備投資の動向

同社の代表取締役社長兼CEOである坂本幸雄氏は、DARMを取り巻く状況について、「Windows Vista用にノートPCも2GBが当たり前になってきた。1部のPCメーカーでは3GBを積むという話も出てきているが、1GビットのDRAMでショートが発生してきている。また、供給面でも歩留まりの問題などで十分に供給ができない状態にある」とし、「値上げを実施したが、他のDRAMメーカーもこれに続いている」と価格がノーマルなレベルに戻るべき環境になったことを強調した。

また、台湾United Microelectronics(UMC)との提携によるロジックファウンドリ事業参入については、「プロセス開発に若干のコストが発生するが、基本はUMCからのライセンスで行われる」としたほか、「製造装置がDRAMでは3~5年で陳腐化してしまう。そうした設備をロジックの生産に向けることで、安定したキャッシュフローを生み出すことができるようになる」とし、マイナスの要因はないとした。

さらに、4月24日に発表したQimondaとの技術提携により、2010年に40nm世代から4F2セルを導入することについて同氏は、「通常4F2は2012年の実用化が見込まれている。1年でも先に実用化できれば膨大なアドバンテージを得ることができる。これが実現できれば、ほとんどのDRAMメーカーが撤退することになる」としたほか、両社の強みを融合し、開発を加速させていくとした。

プロセス開発のロードマップ

なお、UMC、Qimondaと立て続けに提携を行ってきた同社だが、今後もパートナーシップの拡大と強化を続けていくとしており、「DRAMではない部分で提携を行うかもしれない」(同)としている。