日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は22日、エンタープライズ向けレーザーMFP(複合機)、レーザープリンターの新製品を発表。あわせて、新製品を活用した企業向けプリンティング事業戦略を明らかにした。

新登場したA3対応カラーレーザー複合機「HP Color LaserJet CM6040f MFP(左)」とA3対応モノクロレーザー複合機「HP LaserJet M9050 MFP(右)」

プリンティング事業戦略を説明する日本HP 執行役員 イメージング・プリンティング事業統括 挽野元氏

発表会では、まず日本HP 執行役員 イメージング・プリンティング事業統括 挽野元氏が新戦略を説明。従来日本ではコンシューマーや中小企業向けにプリンター関連製品を提供してきたが、日本HPではサーバー、ストレージ、PCなどITインフラも自社開発している。このITインフラを活かし、昨年からエンタープライズ向けに新プリンティング事業を立ち上げた。すでに1年間に15社で新プリンティング環境を構築。さらに広げていくとした。

エンタープライズ向けプリンティング環境は問題点も多い。企業のIT投資は売上総額の1~3%を占めるが、プリンティングのコストは売上総額の2~6%と高い。このプリンティングコストを削減すれば企業のコスト削減の効果は大きい。しかし、あまり手がつけられていないのが現状となっている。ネットワーク上のサーバー、ストレージ、PCは最近一元管理されているが、同様にプリンティングの管理も必要になってきている。このようなプリンティング環境の問題を解決するために、日本HPでは「プリンティングもITインフラへ」をテーマに事業を展開していくとした。

新機能の概要を説明する日本HP イメージング・プリンティング事業統括 エンタープライズビジネス本部 本部長 石川則夫氏

続いて、日本HP イメージング・プリンティング事業統括 エンタープライズビジネス本部 本部長 石川則夫氏が、「プリンティングもITインフラへ」を説明した。

サーバー、ストレージ、PCに比べ、プリンティングデバイスほど、ネットワーク上でしっかり管理されていないデバイスはない。プリンティングコストはIT投資以上となっており、紙からの情報漏えいは43%(NPO 日本ネットワーク協会調べ)に達している。プリンティング環境の改善が急務となっているのだ。これを解決するために、TCO削減(サーバー削減、ヘルプデスクコストなど)、セキュリティ(プロトコル制御、ユーザー認証など)、ガバナンス(ITサービス、SLA、スポンサーなど)、CO2削減(紙使用削減、省電力化など)の4つが重要となる。この考えのもと、プリンティングをITインフラの範囲と捉え、人・資産の生産性向上と、企業として統制された環境を最適なコストで構築する必要がある。これはPCと同じで、ある時点でPCも管理が始まり、シンクライアントなどが登場してきたことと状況は似ているとした。

プリンティング環境構築にはTCOの削減、セキュリティ、ガバナンス、CO2削減が重要

実現のために、プリンティング環境を最適にするコストコントロール、情報流通経路を見渡したセキュリティ対策を行う情報リスクコントロール、プリンティング環境ライフサイクルをサービス化するサービスマネージメント、プリンティング環境から排出されるCO2削減やリサイクル対策強化を行うGreen ITを進め、このような環境を実現するために、プリンティングデバイスの新製品群が登場してきた。以前はR&Dの7割がハードウェアだったのに対し、いまではソフトウェアが7割になっている。

日本HPが提供するソフトウェアは、プリンティング環境の一元・集中管理をWeb上から実現する「HP Web Jetadmin 10.0」、HPプリンターに対する全機種共通のドライバーを提供する「HP Universal Print Driver 4.5」、プリンティングポリシーの設定が可能な「HP Managed Print Administration 2.5」の3種類。それに、基本機能(プリント、スキャン、コピー、ファックスなど)のほか、インフラとして必要な機能(セキュリティ、認証、アカウンティングなど)に標準で対応するHPのプリンティングデバイスを組み合わせることで、ITインフラ内にプリンティング環境を取り込んでいく。各ソフトウェアは、オープン指向で作られているため、ライセンスさえ取得すれば、他社のプリンターでも利用可能となる。

新環境実現のために、3つのソフトウェアとそれに対応したプリンティングデバイスを用意

HP Web Jetadmin 10.0では、トナーやトレーの使用量、アラームなどの表示が可能。ネットワークに、接続したプリンティングデバイスだけでなく、PCにUSB接続したプリンターも管理できる。ネットワーク全体を管理する「HP Network Node Manager」と連携し、PCとともにプリンティングデバイスを一元管理する。問題があるプリンティングデバイスがあれば、それを選択すると「HP Web Jetadmin 10.0」が起動し、問題点を明らかにできる。「HP Universal Print Driver 4.5」では、全てのプリンタードライバーの機能をサポート。プリントサーバーの削減が可能になる。「HP Managed Print Administration 2.5」は、ActiveDirectory連携機能を追加。セキュリティポリシーにあわせたデバイス管理やユーザー管理が行えるうえ、印刷制御によるコストとCO2の削減にも貢献できる。

米HPが2005年後半から2006年末に導入した実績(北米)では、1人当たり8,200枚/年だった用紙使用量が、4,800枚/年と約半分まで削減できた。HPのワールドワイドでは、最終的に6万台以上のプリンティングデバイスを1万台以下に、機種数を約100機種から10機種未満に、プリントサーバーは250台以上を0台にする予定。すでに4割程度の移行が進んでいる。

2008年のMFP(複合機)とレーザープリンターでは、特に中規模ワークグループ(6~15人)向けの製品を強化。従来の機種と含め、10人以下の小規模部門から20人以上の部門まで、新しいプリンティング環境を実現できるようにしたという。

プリント品質と耐久性を両立させたA3対応カラーレーザー「HP Color LaserJet CP6015dn」

カラーレーザー「HP Color LaserJet CP4005dn」。各部署で利用するのに最適なA4対応型でウォームアップ時間が0秒

A4対応モノクロレーザー「HP LaserJet P4015n」。60ppmの印刷速度、ギガビットイーサー、IPsecに対応

カラーレーザーMFP(2機種4製品)

  • 「HP Color LaserJet CM6040f MFP」(155万4,000円、5月中旬発売予定)
  • 「HP Color LaserJet CM6040 MFP」(144万9,000円、5月中旬発売予定)
  • 「HP Color LaserJet CM6030f MFP」(6月以降に発売予定)
  • 「HP Color LaserJet CM6030 MFP」(6月以降に発売予定)

モノクロレーザーMFP(2機種2製品)

  • 「HP LaserJet CM9050 MFP(165万9,000円、5月7日発売予定)」
  • 「HP LaserJet CM9040 MFP(134万4,000円、5月7日発売予定)」

カラーレーザー(2機種2製品)

  • 「HP Color LaserJet CP6015dn」(68万400円、5月中旬発売予定)
  • 「HP Color LaserJet CP4005dn」(26万400円、5月中旬発売予定)

モノクロレーザー

  • 「HP LaserJet P4515n」(26万400円、5月中旬発売予定)
  • 「HP LaserJet P4015n」(20万7,900円、5月中旬発売予定)
  • 「HP LaserJet P4014n」(13万4,400円、5月中旬発売予定)