大手半導体ベンダであるルネサス テクノロジ(以下、ルネサス)は21日、欧州の研究機関であるInteruniversity Microelectronics Center(IMEC)が主催する無線通信技術研究に参加すると発表した。ルネサスは、この研究で得られた成果を次世代モバイル機器向けのRFトランシーバIC開発などに利用する予定。
ルネサスが参加するのは、ソフトウェア無線のフロントエンド部分の研究。ルネサスは研究者をIMEC(ベルギー)に派遣し、IMECの研究チームと共同でリコンフィギュラブルRF ICや、高速で低消費電力のA/Dコンバータについて研究を進める。
リコンフィギュラブルRF IC(再構成可能な無線通信用回路)とは、送受信する無線の中心周波数や帯域幅を自在に切り替えることのできる回路。各無線通信方式に応じて回路を切り替えることで、例えば携帯電話、PHS、無線LANといった異なる方式に1つのRF ICで対応することができる。
今回、ルネサスが参加を表明した研究は、リコンフィギュラブルRFトランシーバICを45nmデジタルCMOSプロセスで開発することを目的としている。具体的には、中心周波数は100MHz~6GHz、帯域幅は100kHz~40MHzまで切り替え可能で、主要な無線通信規格に対応するRFトランシーバICを開発する。
IMECは昨年(2007年)のISSCCにおいてソフトウェア無線に対応した90nmプロセスのRF ICの試作品を発表しており、ルネサスとの共同研究はこの成果をベースとする。また、もう1つの課題であるA/Dコンバータについては、IMECが今年(2008年)のISSCCで発表した9ビットのA/Dコンバータ(40Mサンプル/s)をもとに、さらなる性能および機能の向上を目指す。