日本IBM専務執行役員GBS事業担当のピーター・カービー氏

日本IBMの専務執行役員GBS事業担当のピーター・カービー氏は、2008年のグローバル・ビジネス・サービス(GBS)事業の重点領域として、「グローバル・アセット/ソリューションの活用」「グローバル・デリバリーの活用/パートナーとの協業」「人材育成」の3点を掲げるとともに、「3D+T」をキーワードとした取り組みを強化することを示した。

「グローバル・アセット/ソリシューションの活用」では、日本IBM基礎研究所と米IBMワトソン研究所が共同で開発したPDOS(Production Design and Operations Scheduling)の提供を促進する一方、JavaバッチフレームワークやWeb Application Componentsといった日本発のアセットやソリューションをグローバルで横展開。アセットとソリューション構築への投資として、2007年度には170件規模に達した登録アセット数を、2008年度も同様に継続的する考えなどを示した。

さらに、「iシリーズ向けに提供していたi-siteを、MEGA Frameとして、SOA化およびJava化し、多種多様な顧客に対して提供していく基盤を整える」(カービー氏)とした。

また、「グローバル・デリバリーの活用/パートナーとの協業」では、世界中のグローバル・デリバリー・センターから最適な人財を日本の顧客向けに確保するとともに、グローバルに事業展開している顧客に対する最適なサービスの提供、アプリケーションスキルに強みを持つパートナーに対するツールの提供をはじめとする協業強化を図る。

さらに、「人材育成」では、グローバル人材の育成として、グローバル・デリバリーとの協業プロジェクトにより、年間数100人の社員を海外へ派遣し、海外での先進的取り組みを習得。帰国後、国内において新ソリューションを展開できるようにするプログラムを実施する。「次世代のグローバル・リーダー育成を志向した海外派遣にも乗り出す」とした。

一方、「3D+T」は、顧客とのより深いリレーションシップを構築する「Deeper」、IBMの強みを生かしたソリューション&サービスによる「Differentiated」、グローバル規模でのデリバリーモデルと品質向上による「Delivered Globally」の3つのDと、「Talent(人財)」のTから命名したものとして、それぞれの取り組みについて言及した。

「Deeperでは、お客の成功に向けた最適なシステム提案のためのプランニングを実施し、IBMが持つ幅広い多種多様なソリューションおよびサービス群を提供することができる。また、Differentiatedでは、SOAをベースとしたアセット型ビジネスの推進、アプリケーション開発の新たなオファリング体制、SAPやOracleといったISVとの連携などによるビジネスソリューションの推進を進めている。Delivered Globallyにおいては、手法やツールがすべてのセンターで標準化されており、日本の案件であっても、インドや中国のセンターからデリバリーするといった体制が整っている。また、Talentの領域では、グローバルで活躍する人材育成に向けた取り組みを行っていることを示した。

ITサービス市場とGBS

IBMが掲げる"3D+T"

IBMのGBS事業は、

  • 企業改革や組織改革などの戦略面からのコンテサルティングを行う「ストラテジー&チェンジ」
  • 財務部門に対する経営支援を行う「フィナンシャル・マネジメント」
  • 調達から物流までのエンド・トゥ・エンドでシステム支援構築をコンサルティングする「サプライ・チェーン・マネジメント」
  • コールセンターやコンタクトセンターを含めた顧客戦略を対象とする「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント」
  • 人事部門の経営支援を行う「ヒューマン・キャピタル・マネジメント」
  • アプリケーション同士の統合やSOAへの取り組み、セキュリティプライバシーへの対応までを視野に入れている「アプリケーション・イノベーション・サービス」
  • システムの運用および保守などを対象とする「アプリケーション・マネジメント・サービス」

以上、7つのサービスラインで構成される。

また、サービスラインを横串とする一方、それを縦串で結ぶのが、6つのセクターとなり、中堅企業を対象とするゼネラル・ビジネスをはじめ、流通事業、金融事業、インダストリアル事業、公共事業、通信・メディア・公益事業の各セクターで構成する。

さらにデリバリーチームとグローバルデリバリーチームを擁し、「いまや、日本の顧客に対して、日本のデリバリー・センターだけで完結する例はほとんどない。グローバルのケーパビリティを活用するためへの投資も加速していく」とした。