IEEEが主催する国際学会である第11回のCOOL Chipsが、4月16日から18日の日程で、横浜の情報文化会館で開催された。東横線に連続するみなとみらい線の日本大通り駅の中華街方向の出口の真上という便利な位置にある会場である。今年のCOOL Chipsの参加者は150名程度であった。
初日の16日は、午後1時から開催で、セッション1のチェアーである九州大学の井上准教授の紹介で、恒例の2件の大型招待講演が行われる予定であったが、最初の講演を行う筈のノースカロライナ州立大のYan Solihin准教授が、飛行機の故障で到着が1日遅れてしまい、2番目の講演者であるKevin Skadron准教授が予定外の熱密度の問題に関する講演をやり、Solihin先生の講演の一部を、代役で井上先生が発表するという波乱の幕開けとなった。
予定外のプロセサの熱密度の増大問題に関して講演するSkadron准教授(左)、右の写真はMPUのヒートシンクを取り外し、アルミフォイルで作った皿を取り付けて目玉焼きを作っている熱問題を象徴する写真。 |
なお、Solihin先生は、16日の午後に無事成田に到着し、17日に残りの部分の講演を行う予定である。
到着の遅れたSolihin先生のスライドを代役で熱演する九大の井上先生。 |
そして、3番目の講演に再登場したSkadron先生は、"Massively Parallel Graphics Processors in a Multicore, Power-limited Era"と題する特別講演を行った。Skadron先生はバージニア大学の准教授であるが、現在は、サバティカル(一年程度、休職して他の大学や研究機関、私企業などに行って研究を行うことができる休暇)でNVIDIAで研究を行っている。
特別講演の内容の紹介は後報の予定であるが、初日が終わった後の実行委員会のパーティーで、何故サバティカルでNVIDIAに行くことにしたのかと質問すると、大規模並列性の研究に興味があり、NVIDIAに人的繋がりがあったからという想定の範囲内の答えであったが、NVIDIAの将来はどうなると思うかという意地悪質問をすると、Intelが乗り出して来ており、ダビデとゴリアテの戦いで興味深いという答えであった。更に追いかけて、歴史的にはダビデが勝ったがと問うと、その前にゴリアテは多くの挑戦者を叩き潰したという答えであった。ということで、NVIDIAがゴリアテに勝ったダビデになるのか、あるいは叩き潰された一人になるのかは、現状では誰にも分からない。
更に、追い討ちで、Intelの挑戦に対してNVIDIAの技術陣の士気はどうかと質問すると、来るなら来いということで意気軒昂という答えで頼もしく感じた。