アフィリエイト・ネットワークを運営するリンクシェア・ジャパンは17日、同社のネットワークに登録するブロガーが書いた商品レビューなどを集めた情報発信サイト「リンクシェア・チャンネル」を開設した。また、同社のネットワークに参加しているECサイト100社、約1,000万点の商品を掲載するショッピングサイト「リンクシェア・ショッピング」および「リンクシェア・ショッピング・モバイル」を21日に開設すると発表した。

新サービスについて説明するリンクシェア・ジャパン代表取締役社長 花崎茂晴氏(左)と同営業本部コンサルティンググループ プロモーションプランニング チームリーダー 守谷良子氏(右)

「2007年度はアフィリエイト業界にとっては、正直、バラ色ではなかった」。今回の新サービス発表に先立ち、リンクシェア・ジャパン代表取締役社長の花崎茂晴氏は2007年度の業界動向を振り返った。「業界全体に頭打ち感が生じており、(フリーメールアドレスを使った複数登録や、クリックのシステム化といった)不正問題への対処という課題も出てきた。ポイントアフィリエイト(=マイルや電子マネー、クレジットカードのポイントなどで報酬を還元するアフィリエイト)サービスの巨大市場が出現し、 Yahoo! とGoogleが圧倒的なトラフィックを有している状況下で、『成果報酬型』モデルの導入への流れも加速している」と、アフィリエイトを取り巻く環境の著しい変化について説明。そのうえで、「個人と企業の間における価値観の共有と、企業が求めるROI(投資対効果)の最適化、このふたつを促進するようなマーケティングパートナーでありたい」と、本年度に同社が目指す方向性を打ち出した。その一角を担うのが、今回発表された「リンクシェア・チャンネル」「リンクシェア・ショッピング」(および「リンクシェア・ショッピング・モバイル」)ということになる。

記事の露出を高め、書き手のモチベーションに

「リンクシェア・チャンネル」は、ECサイトの商品やサービスを対象として、アフィリエイターが自身のブログ上に掲載したレビュー記事を、リンクシェアが審査したうえで転載するサイト。転載された記事は「ブランドチャンネル」「モノチャンネル」「テーマチャンネル」の3つのカテゴリに分類される。そのカテゴリーに沿って、読者は自分の興味のあるモノやサービスをすぐに見つけることができる。

転載された記事にはブロガー本人のアフィリエイト・リンクが貼り付けられるので、リンクシェア・チャンネルにあるアフィリエイト・リンクを経由してECサイトでの直接購買が発生した場合にも、報酬は記事を書いたブロガーへと支払われるという点が大きな特徴だ。また、元のブログサイトへのリンクが「この記事の提供サイト」としてページ内に表示されるため、ブロガーはリンクシェア・チャンネルの転載記事から読者を自身のブログに呼び込むことができ、集客増を見込めるのも魅力。掲載された記事が参考になったかどうかについて、評価を5段階で投票することができ、サイトを訪れた読者にとっては面白い記事を書くブロガーを、すぐに見分けられるという仕組みになっている。

「リンクシェア・チャンネル」の例

リンクシェア・チャンネルの狙いは、ブログを通じた購買行動の活性化にある。2007年度の同社の流通額は約900億円。そのうちアフィリエイト・ネットワーク経由の流通額は8%を占める。同社では、ブログをアピールできる場を設けて良質なブログ記事の露出を高める仕組みを作ることで、ブログ経由の流通額を10%程度伸ばすことを見込んでいるという。仕組みづくりの背景には、アフィリエイトを1年以上継続するブログが10%強に過ぎないという統計がある。思うような成果が上げられず、低下しがちなブロガーのモチベーションの向上は課題だ。サイトの知名度を上げたい、人に自分の記事を読んでもらいたいといった、書き手の「やりがい」を刺激することで、報酬以外の部分でもブロガーを支援し育てていきたいという同社のミッションもあるだろう。

一方の「リンクシェア・ショッピング」は、これまで「リンクシェア・ショールーム」としてECサイトの商品をカテゴリ別に掲載してきたサービスをリニューアルしたもの。こちらはアフィリエイターに向けたものではなく、ECサイトの商品ページへの消費者の誘導を図るショッピング情報サイトとなる。検索ワードに関連した商品を探せる「関連キーワード検索」などの機能を実装することによって、サイト内における利便性を高めているのが特徴だ。商品の専門知識を持つコンシェルジュによるレビューや、スタッフのおすすめコメントも掲載され、消費者にアプローチするのが狙い。Apple、SonyStyle、ベルメゾン、ニッセンなど約100社、合計1,000万点の商品を掲載する。