発足から一年、JJUG「CCC」開催!

「コミュニティのコミュニティ」「Javaに閉じず」を標榜した開発者コミュニティ、Japan Java User Group(以下、JJUG)が発足から一年を迎えた。その節目を飾るイベントとして「クロス・コミュニティ・カンファレンス(以下、CCC)」が4/30に開催される。

イベントに先立って行われた記者発表では、JJUGが歩んできた一年の総括とこれからの方向性、それに加えてCCCの見所となるセッションの説明が行われた。今回の目玉はなんと言っても「Websphereの父」ドン・ファーガソン氏による基調講演が行われることだ。

記者発表を行った丸山不二夫 JJUG会長

ドン・ファーガソン氏来日

今回来日するドン・ファーガソン氏は、元IBMフェローでWebsphereを生み出した人物として著名だ。J2EEを誰よりも深く知る人物であり、初期のWebサービス仕様策定にも深く関わっている。

ファーガソン氏は一昨年末に突然IBMを辞職し、Microsoftに入社。昨年秋頃から本格的な活動を開始していたが、3月の前半にMicrosoftも退社し、現在はComputer Associatesに在籍している。

今回は、日本IBMの清水敏正氏の働きかけにより来日が実現。CCC基調講演では、MicrosoftやIBMと言った枠にとらわれず、企業システムの将来像について語る。清水氏は「友人として」自ら同時通訳にあたるとのことである。

日本IBM 清水敏正氏

クロス・コミュニティ・カンファレンスの見所

Webアプリを主軸としたセッション群

今回のカンファレンスで行われるセッションの大きな柱は「Webアプリケーション開発技術の最前線」だ(セッションの詳細はこちら)。ご存知の通り、JavaによるWebアプリケーション開発にはさまざまなフレームワークの選択肢があり、それぞれに利点・欠点がある。CCCのセッションに参加することで、以下のようなフレームワークの概略を一気に把握できる。

  • Grails…Groovyを主な開発言語として用いるJava EEフレームワーク
  • JRuby on Rails…JRuby版のRails。JDBCを使用できるなど、Javaならではの特徴も
  • Clickフレームワーク…とにかくシンプルさが売りのWebアプリケーションフレームワーク
  • Wicket…コンポーネント指向でステートフルなプログラミングモデルを特徴とするWebアプリケーションフレームワーク

また組み込み系からエンタープライズ開発、そしてさまざまな言語の実行環境に至るまで、現在のJavaが持つ広い適応範囲を反映し、Java SEからAndroid、Sun SPOTに至るまで、様々なセッションが開催される。

特に、オブジェクト指向と関数型のコンセプトを融合した言語仕様を持つJVM言語「Scala」と、Scalaによって書かれたフレームワーク「Lift」に関するセッションは注目に値するとのことである。

ひがやすを氏によるセッション「ITゼネコンをぶっつぶせ」

またカンファレンスの最後を飾るのは、ひがやすを氏(Seasarプロジェクト、電通国際情報サービス)によるBOFだ。そのタイトルは「ITゼネコンをぶっつぶせ」と言う扇情的なもの。このBOFで、同氏は日本のSI業界が抱える構造的な問題を大きく改善するために「プログラミング・ファースト・デベロップメント」と言う開発手法の提案を行い、このテーマを基にした観客との対話に意欲を燃やしている。

ひが氏の提案する開発手法を用いることにより、同氏の試算では、1000人月のプロジェクトでも開発工数を1/4に減らせる可能性があると言う。

同テーマの捉え方は人それぞれであろうが、場が盛り上がることはまず間違いない。少しでも興味を覚えた方は参加して、自らの主張を述べてみてはいかがだろうか。

ひがやすを氏

JJUGの一年、そしてこれから

JJUG発足から一年間で行った様々な活動の結果、現在JJUGには日本全国から30以上のコミュニティ、そして850人を超える登録ユーザを抱えるまでに成長したと言う。

今年度のJJUGは、Javaのコモディティ化はビジネスチャンスの拡大に繋がる、と言う信念のもと、エンタープライズJavaを中心としつつも、クラウドコンピューティングやアプライアンスにおけるJavaの可能性を追求していくとのことだ。