Linuxカーネル開発リーダーのLinus Torvalds氏は17日 (米国時間)、開発者向けメーリングリストで最新版カーネル「Linux 2.6.25」のリリースを発表した。ソースコードおよびパッチは、The Linux Kernel ArchivesのWebサイトやLinuxディストリビュータ経由で配布される。
今回のリリースでは、RCUプリエンプションをサポート。複数のCPUからの同時アクセスからデータ構造を保護するために、カーネル2.6で追加された同期機構のRCU (Read-Copy Update) を改良、プリエンプション可能となりリアルタイム性能が向上したもの。スピンロックの改良も行われ、FIFOオーダーで利用することが可能となったほか、副次的効果により、Linuxカーネルで同時に動作可能なCPUの理論値が最大65536基にまで増加した。
メモリ管理機能も強化されている。カーネル2.6.24で統合された、リソースをグループ化して管理することを目的としたフレームワーク「Control Group (cgroup)」が改良、ドキュメントの追加も行われている。
プロセス管理機構も見直され、プロセスごとのメモリ使用量をかんたんに測定できる機能が追加された。カーネル2.6.25では、プロセスが使用するページに対応する物理ページ配置をプロセスごとに/proc/$PID/pagemapsとして作成、これを他のプロセスと比較することで共有するページを判別できる。共有ページを共有しているプロセスの数で除した数値を持つ「proportional set size (PSS)」と、共有されていないページをカウントした「unique set size (USS)」という2つの統計値も新設された。
ハードウェア面では、i915向けのサスペンド / レジューム対応、ATI R500 DRMの初期サポートなど、多くのデバイスが新たに利用可能となっている。x86プラットフォームでは、EFI x86-64のサポートも加えられている。