米AdventNet子会社でSaaSベースのOfficeツールを提供している米Zohoは4月16日(現地時間)、Zohoファミリーの新製品にあたる「Zoho CRM Enterprise Edition」の提供開始を発表した。SFA、マーケティング支援、カスタマーサポート、製品・在庫管理、ワークフロー、レポートといった各種基本機能を備えつつ、SSL接続やロールベースのセキュリティ機能、表計算アプリのZoho Sheetとの連携、11言語サポートなどの特徴を持つ。3ユーザーまでの利用が無料で、今回発表されたEnterprise Editionの利用でも単位ユーザーあたり月額25ドルと安価な点が、Salesforce.comらライバル製品と比較してのメリットだとZohoでは説明する。
Zohoは「Zoho Invoice」「Zoho Projects」「Zoho Meeting」「Zoho People」「Zoho DB」など、Office Productivity Tool(オフィスの生産性を向上させるツール)をオンライン・ソフトウェアとして提供しているベンダー。Zoho WriterやZoho SheetなどのいわゆるOfficeアプリケーションの役割を果たす製品もラインナップに抱えており、これら製品を互いに連携させることで1つの企業向けシステムを構築することが可能になる。今回発表されたZoho CRM Enterprise Editionでは、従来製品と比較してセキュリティ機能や他のアプリケーションとの連携機能が強化されている。
Zoho CRMでは無料のPersonal Editionのほか、Professional Edition(単位ユーザーあたり月額12ドル)とEnterprise Edition(月額25ドル)の2種類が用意されており、Professional / EnterpriseのユーザーはSSLでの接続が可能。また組織内の役割に応じたロールベースのセキュリティが適用されており、ユーザーの属性に応じてアクセス権限の設定が可能となっている。機能連係の面では前述のZoho Sheetとの統合のほか、Outlook用のプラグインも用意され、Microsoft Officeを利用してオフラインやモバイル環境での利用も容易になった。
Zohoの新サービスに関連して話題となっているのがライバルとの競合関係だ。Zohoの製品ラインナップを見ればわかるように、同社はSalesforce.comとGoogleの2社と直接競合する。折しも今月14日(米国時間)、Salesforce.comとGoogleが戦略提携を発表した。だがGoogleとの提携を発表する以前に、Salesforce.comはZohoに対して買収のオファーを行っていた。もしこの買収が成立していれば、Salesforce.comは自社に足りないソリューションの数々をZohoの製品で補完できており、Googleとの提携もなかった可能性がある。