半導体テスタメーカーVerigyの日本法人であるヴェリジーは記者会見を開き、同社が行っている半導体テスタビジネスについての説明を行った。Verigyは2006年にAgilent Technologiesから分離・独立して設立された半導体テスタ専業メーカ-。検証などの意味を持つ"Verification"から"Veri-"を採り、Technologyなどの"-logy"から"gy"を取り、何かに取り組むという意味を込めVerigyという名前を付けた。

ヴェリジー 代表取締役社長 佐藤憲二氏

同社は半導体テスタとして、2つのプラットフォームを有している。1つはSoC、SiP、ハイスピードメモリ向けプラットフォーム「V93000」で、もう1つはメモリ、フラッシュメモリ、MCP向けプラットフォーム「V5000」である。

両プラットフォームが同社の売り上げに占める割合は、「SoC向けが約6割、メモリ向けが約2割で、その他サービス&サポートが残り2割」(ヴェリジー 代表取締役社長 佐藤憲二氏)という。

顧客は主にアジア太平洋地域に多く、「およそ受注の8割が同地域から」(同)となっている。また、納入先の業種としては、半導体組立検査受託会社(OSAT:Outsourced Semiconductor Assembly and Test)が72%で、残りの28%がIDMやファブレスとなっている。

2008年第1四半期受注の地域別分布(アジア太平洋地域が8割を占める)

また、同社製品の市場シェアは、SoC分野では2006年で15%だったものが2007年には18%に、メモリ分野では2006年が16%だったものが2007年には17%に伸びており、「デジタル家電市場の伸びに併せて当社のテスタの売り上げも伸びている。デジタル家電市場は今後も伸びることが見込まれており、それに併せてシェアの拡大を図りたい」(同)とする。

「デジタル家電の伸張により市場のメインストリームが"産業中心"から"一般消費者中心"へ変化することで、デバイスの平均売価は減少する。それに伴い、テスタも低価格化する必要がある」(同)とし、対応策として同社ではFlextronicsへ委託する形で、製造部門の中国への移管を進めている。すでにV5000シリーズの製造は米国から完全に移管を終えており、V93000シリーズについても、ドイツから順次「移せるものを移していく」(同)とのことである。

また、同社製品は独自の「テスター・パー・サイトアーキテクチャ」を採用している。同アーキテクチャはテスタのサイトごとに独自のプロセッサを搭載することにより、デバイスを個別に制御して測定することを可能にする技術。これにより、個々のデバイスによりテスト内容が異なるNAND型フラッシュメモリやSPI(Serial Peripheral Interface)フラッシュメモリなどのテストタイムを短縮することが可能となり、「テストコストの削減が可能になる」(同)としており、高速メモリが市場に普及することが見込まれる今後、RFや民生用ミクスドシグナル、NAND型フラッシュメモリ分野を中心にさらなるシェア拡大が見込めるとした。

一般的な"シェアード・リソースアーキテクチャ"とVerigyの"テスター・パー・サイトアーキテクチャ"の比較

このほか、新たな施策として、同社は2007年12月にLSIテスト関連企業の米Inovysを買収した。Inovysは、65nmプロセス以下に対応するデバイス設計、製造プロセス向けの設計デバッグ、故障解析、歩留り加速などに向けたツールを提供してきており、Verigyのナノエレクトロニクス、デジタルソリューションを補完する関係が構築できるとして、2008年中にもVerigyのテスタプラットフォームに対応した新製品を発表するとした。