米Comcastと米Pando Networksは4月15日 (現地時間)、P2P (peer-to-peer)ユーザーとISPの権利と責任をまとめた「P2P Bill of Rights and Responsibilities (BRR)」 を業界規模で策定する計画を明らかにした。
P2Pアプリケーションを利用する際のコンシューマの選択肢と権利、そしてネットワークを利用するP2Pアプリケーションを管理するためのISPの対応や手続きを明確にするのがBRRの狙いだ。両社は、他のISPやP2P企業、コンテンツプロバイダー、業界エキスパートなどと共に、効果的なBRR実現に向けた作業を牽引する。
Comcastは、これまでP2Pのトラフィックによる帯域占有を批判してきたが、一転して米国時間の3月27日にBitTorrentとの提携を発表。オンラインでのリッチメディアコンテンツ配信とネットワーク帯域管理の問題解決に向けて、P2P技術を有効活用する戦略を打ち出した。その中にはP2P技術を用いた新しいディストリビューション・アーキテクチャの業界規模の研究・開発が含まれており、今回の発表はその実現に向けた下地作りの1つとなる。
両社は、Comcastの光ファイバーネットワークでPando Network Aware P2P技術を試験することも発表した。PandoのP2Pアプリケーションを用いたファイルダウンロードのデータフローを収集・分析するのが目的だ。Pandoは他のISPとも幅広く同様の試験を実施しており、同社はComcast、P4P Working Groupと共に試験の成果を公開する計画を進めている。異なった種類のネットワークや環境、地域をまたがったP2Pアプリケーションの利用の最適化を支援するデータになると期待している。
ComcastがP2P技術の活用支援を積極的に行っている背景には、ISP事業への政府介入を避けたいという意図がある。例えばPandoはP2Pをトポロジーデータから地理的に整理し、従来のP2Pよりも少ないホップ数で効率的なデータ転送を実現するP4Pの試験データを公表しており、それをComcastは今年末までに導入予定のネットワーク管理技術の開発に利用している。データ共有についてComcastは「政府に介入されることなく、ビジネス同士の協議を通じて技術的な問題を解決できる好例である」と強調する。