基調講演は熱気につつまれる

会場は開始30分前からほぼ満席

15日、Windows Server 2008、Microsoft SQL Server 2008、Microsoft Visual Studio 2008という、今後のマイクロソフトの主力となる3製品を同時にリリースする一大イベント「the Microsoft Conference 2008」が都内のホテルで開催された。

マイクロソフトコーポレーション ビジネス部門担当プレジデント ジェフ・レイクス氏による基調講演が行われた会場は、開始30分前からほぼ満席。この製品群に対するユーザーの期待の現われか、あたりは熱気につつまれている。

公演開始時間が訪れると、3つの大型モニターには生バンドによる激しい演奏の様子が映し出される。派手なパフォーマンスのあとに出てきたのは、なんと名司会者の草野仁氏。今回マイクロソフトが掲げている「HEROES happen {here}」について自身のコメントを寄せる。そして満を持するかのように草野氏のアナウンスによって登場したのはジェフ・レイクス氏だ。

名司会者の草野仁氏が登場。会場を静まり返らせる語り口調はさすが。私にとってのヒーローはニューヨークヤンキースの松井秀喜選手だと語った。

草野氏のアナウンスによって登場したジェフ・レイクス氏

ステージでは生バンドによる激しい演奏が繰り広げられた

テーマは「HEROES happen {here}」

「ヒーローになるためには非常に多くのサポートを必要とします。そして本物のヒーローはそれを認識しているのです。そして現場にこそヒーローはいます。これは重要なテーマです」と語りだしたジェフ・レイクス氏。約100年前に訪れた世界的な工業化を実現したのは、現場で働いている人々であり、そのひとりひとりがヒーローであると熱弁をふるう。「成功をもたらすのはヒーロー達の存在があってこそです。ITのインフィードをもたらすヒーロー達がいて、成長および生産性の向上をもたらしているといえます」と言葉を続ける。

熱弁をふるうジェフ・レイクス氏

今回マイクロソフトが掲げている「HEROES happen {here}」が、すなわち現場で働くITプロや技術者を指しているのだとジェフ・レイクス氏はいうのだ。「今回発表した3製品はまさにヒーローを支えるものです。これはわたしたちのいう『Dynamic IT』の重要な戦略となるべき部分でもあります」と同氏は続ける。

以前にもまして重要視されているITだが、実際には多様化に追従しなければならなかったり、セキュリティやコンプライアンスの徹底を図る必要があったりと、複雑化も進んでいる(同氏)。課題の多い企業のITがビジネスとの適切なバランスを見つけられるように支援するのは、マイクロソフトの重要な案件のひとつである。この目的において戦略目標の整合性をとり、変化するビジネスの条件に自動的に適合できる柔軟性と姿勢を有するシステムを構築できるようにするためのテクノロジー・イノベーションにフォーカスする、これがマイクロソフトのいう「Dynamic IT」である。

「実際の企業では、保守や運用管理への投資が80%近くに及びます。革新のための残されている投資はわずか20%です。ITを最大限に利用するにはその割合を逆にしなければなりません。そのためにDynamic ITが必要なのです」と同氏は語る。

ジェフ・レイクス氏によれば「複雑性への対処、俊敏性の実現」「情報の保護、アクセスの制御」「ITソリューションにより、ビジネスを加速」「従業員の能力の最大化」という4つのテーマを考える必要があるのだという。そしてそれらを実現させるために2007に発表されたOffice SharePoint Server 2007をはじめとする製品群があった。今回の3製品は、さらにその上のレイヤーに行くためにリリースされたのだ。

ジェフ・レイクス氏は「この3製品によって4つの領域において大きな前進が可能となります。セキュアで信頼されるプラットフォーム、仮想化、次世代Webの開発、そしてビジネスインテリジェンスです」と語る。

無作為な仮想化に警鐘

ジェフ・レイクス氏は、Windows Server 2008はデフォルトの状態で高いセキュリティを持っているほか、Microsoft SQL Server 2008の監査機能もコンプライアンス対策に役立つはずだ。また、世界を見ても仮想化されているシステムは5%しかないという実情について言及し、Hyper-Vを中心としたマイクロソフトのテクノロジーが仮想化を加速すると自信を見せた。

さらに「すべての企業が仮想化を実現できるようにWindows Server 2008ではコア機能のひとつとして実装している」とジェフ・レイクス氏は語っている。すべての企業が仮想化を活用すべきだと言いながらも、同氏はガートナー社の副社長兼アナリスト トム・ビットマンの「運用管理をきちんと考慮せず仮想化を導入することは、そもそも仮想化を利用しないことよりも危険なことである」という言葉を借りて、無作為な仮想化に警鐘を鳴らす。

マイクロソフトではすべての顧客にとってコスト効率のよい、もっとも簡単に管理できる仮想化をコミットしたいとジェフ・レイクス氏は述べている。

マイクロソフト代表執行役 社長 樋口 泰行氏

そして、次世代Webの開発においては、Microsoft Visual Studio 2008の.NETフレームワークの進歩をサポートしており、より迅速なデータアクセスやWebデザインが行えるなど、高い生産性をもたらす事を紹介。また、ビジネスインテリジェンスについてはMicrosoft SQL Server 2008が持つBI機能がいつも使っているOfficeで表示できることなどを解説した。

ジェフ・レイクス氏に続いて登場したマイクロソフト代表執行役 社長 樋口 泰行氏は、3製品同時発表が同社において初の試みであることに触れ「ただ単に同時リリースであるというだけでは意味がありません。今回はパートナーさまと共にいろいろな準備をさせていただき、業界全体でロンチしました。インダストリーロンチという位置づけとなります」と語った。

「WindowsもCTCと認知されるようがんばりたい」とCTCの後藤健氏

マイクロソフトは、出荷の準備段階から各パートナーの製品やサービスが新しいプラットフォームに対応できるようリリースを進めてきた。この努力により、8月までにハードウェアのプリインストールモデルで110、ソフトウェアも認定ロゴ取得製品を含めた対応製品が500以上となっている。

さらにマイクロソフト認定テクノロジースペシャリストの数は700名以上で、導入からサポートまで万全の体制で臨んでいる。この後、パートナーの代表として伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 取締役 兼 常務執行役員 クロスファンクショングループ担当役員 後藤 健氏のコメントへと続き、基調講演は閉幕を迎えた。