Adobe Systemsは14日 (米国時間)、デジタル映画用ビデオファイルフォーマットの統一規格制定に向け、開発イニシアティブを開始するという計画を発表した。統一規格の名称には「CinemaDNG」が予定され、デジタル映画関連企業の協力のもと、同社が開発したDigital Negative Specification (DNG) ファイルフォーマットをベースに策定が進められる見込み。
Adobeは現在、オープンかつ公開資料に基づくファイルフォーマットという前提のもと、CinemaDNGの要件定義を進めている。協力企業にはPanavisionやSilicon Imagingといった映画用カメラメーカー、IridasやThe Foundryなどのソフトウェア ベンダー、コーデックプロバイダーであるCineFormの名前が挙げられている。
今回の発表にあたり同社ダイナミックメディア部門副社長のJim Guerard氏は、「デジタルカメラ用のオープンなファイルフォーマット開発におけるリーダーシップを、デジタル映画の分野でも発揮したい。この分野の有力企業と協力し、映画のエコシステム全体がメリットを享受できるような業界規格の定義を支援する」とコメントしている。
CinemaDNGのベースとなるDNGは、Adobeが提唱する静止画像フォーマット。TIFFをベースにデジタルカメラのRAWファイル用として制定され、仕様は一般に公開されている。CinemaDNGの規格が制定されれば、ベンダー独自のファイルフォーマットが将来サポートされなくなるというリスクを回避できるほか、新世代のRAW対応ビデオカメラにも対応するフォーマットを使える利点がある。