米連邦通信委員会 (FCC)は米国時間の4月9日、携帯電話キャリアによる緊急時のアラート情報の配信を承認するFirst Report and Orderの発行を発表した。これにより米国民が携帯電話へのテキストメッセージで緊急情報を受け取るシステムの稼働が現実味を帯びてきた。

今回FCCが承認したシステムは2006年に米議会を通過したWarning, Alert, and Response Network (WARN) Actに基づいて検討されてきたもので、「Commercial Mobile Alert System (CMAS)」と呼ばれている。議会承認以来、FCCはCommercial Service Alert Advisory Committee (CMSAAC) に参加し、米携帯電話キャリアと共にCMASの実現について意見を交換してきた。FCCは承認を検討する上で、正確かつ的確なアラート情報の提供を重視。まずはテキストメッセージを用いたアラート送信が計画されているが、将来はより効果的な情報伝達につながるオーディオやビデオの採用を視野に入れている。

緊急アラートは3種類。「Presidential Alerts」は米国民全てが対象になる国家レベルのアラート。「Imminent Threat Alerts」は、人々の生活を脅かすような緊急状態に関する情報。「Child Abduction Emergency/AMBER Alerts」は、子供の誘拐や行方不明などに関する情報となっている。

CMASは全ての携帯電話キャリアにサービス提供を課すものではなく、参加を希望し承認された携帯電話キャリアを通じて提供される。すでにAT&T、Verizon Wireless、Sprintなど主要な米携帯電話キャリアが参加を表明しており、これらがCMAS規定に対応する期間としてFCCは10ヶ月を割り当てている。

FCCの承認で大きく前進したCMASだが、実現にはもう一つ大きな課題が残されている。緊急アラートのための情報を収集し、配信する窓口となる連邦機関だ。この役割に積極的な声が聞こえてこないのが現状であり、先行きが危惧されている。