日本IBMは9日、新サーバプラットフォーム「IBM Power Systems」を発表した。従来のサーバ製品「System i」と「System p」の2シリーズを統合したもので、今後は営業面等でも一本化される。

日本IBM 専務執行役員 システム製品事業担当 ジム・グレゴリー氏

日本IBM 専務執行役員 システム製品事業担当 ジム・グレゴリー氏は「IBMは、常にお客様にフォーカスしている」と強調。「今回発表した「IBM Power Systems」によって、新たな価値を提供して行く」と語った。

「IBM Power Systems」は、POWER6プロセッサを搭載したハードウェアと、3種のOSで構成される。OSはIBM AIX、IBM i(旧i5/OS)、Linuxの3種から選択可能で、仮想化技術「PowerVM Edition」を利用して1台のハードウェア上で複数種類のOSを利用することもできる。IBMのOSだけでなく、オープン環境のサーバやOSを一元管理することのできる「IBM Director」ファミリーにも対応しているため、複雑なシステム環境でも統合管理が可能だ。

IBMコーポレーション IBMシステムズ&テクノロジー・グループ パワー・システムズ・プラットフォーム ワールドワイド・マーケティング&ストラテジー バイス・プレジデント スコット・ハンディ氏

「PowerVMはIBMの仮想化におけるフラッグシップ製品。従来のUNIX環境ではCPU使用率は20%程度だが、PowerVMを利用したサーバ統合によって使用率60%が達成されようとしている」とIBMコーポレーションのバイス・プレジデントであるスコット・ハンディ氏は語る。

さらにハンディ氏は「POWER6を搭載したことで、消費電力の60から80%削減も達成した。これは、POWER6は従来製品と比べて2倍の処理能力をもちながらも消費電力は従来のまま、という非常に省電力なつくりであることに加えて、コアが使われていない時には電力をカットすることができるという技術によるものだ。さらに、消費電力を管理する技術「POWER6 EnergyScale Technology」に対応しているため、ユーザーはエネルギーの使用状態はシステム上で管理することができる」と述べ、POWER6が環境対応性能の高いプロセッサであることも強調した。

そうしたPOWER6を搭載したハードウェアとして発表された製品は4モデル。デスクサイド型/ラックマウント型4Uモデルとしては、最大4コアの4.2GHzプロセッサを搭載するエントリーモデル「IBM Power 520 Express」と、最大8コアの3.5GHzまたは4.2GHzプロセッサを搭載するサーバ統合やアップグレード向けのモデル「IBM Power 550 Express」の2モデル。24インチ、42U専用ラックを利用するラックマウント型「IBM Power 595」は5.0GHzのプロセッサで最大64コアの搭載が可能な最上位モデルだ。これに、水冷技術を採用した高度高速計算に特化した、最大448個の4.7GHzプロセッサコアによるクラスタ構成をもつ「IBM Power575」が加わる。

Powerサーバ第1弾

日本IBM 理事 システム製品事業 プラットフォーム パワー事業部長 武藤和博氏

「他社のCPUは、営業停止を決定しているものも多くあり、迷走している状態。しかしIBMはアメリカで15年間特許出願数でトップであり、将来に向けて確かなロードマップを発表してる。特許を出願した技術が製品化されるのは数年後ですから、今後も長い間安心して使用していただける製品です」と日本IBM 理事 システム製品事業 プラットフォーム パワー事業部長 武藤和博氏は語る。

日本における戦略としては、ローエンド戦略として「100Vで稼動するシャーシ「BladeCenter S」に「BladeCenter JS12」を搭載し、その上でIBM iを稼動させるという形で、100V環境でもSystem iが実現できる形で提供します。この中に、他社のIAサーバやUNIXサーバをどんどん取り込んでいただくことができます」と他社からの乗換えを強く推進する考えを示した。

BladeCenter S

また、そのためのプログラムとして「ヒューレット・パッカードやサン・マイクロシステムズといった他社製品がすでに導入されている場合、日本IBMがその製品を引き取り、システム規模に応じたサービスを提供する、ということを行う予定で、5月の出荷開始までには発表する」としている。