携帯サイトの有害性を審査するための第三者機関「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」(Content Evaluation and Monitoring Association、以下「EMA」)が8日、発足した。健全なサイトにもかかわらず、携帯キャリアなどのフィルタリングサービスの対象となってしまったサイトを、"有害でない"と認定することで、同サービスの対象外とすることを目的としており、こうした試みは「世界初」(同機構)という。

「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」の設立記者会見を行う、左から上沼氏、長谷部氏、岸原氏

携帯サイトのフィルタリングを巡っては、2007年12月に増田寛也総務大臣が携帯電話事業各社に未成年者の原則加入を要請。だが、各キャリアのフィルタリングサービスは、キャリアが認めたサイトしか閲覧できないようにする「ホワイトリスト方式」を採用しているものもあり、ブログやSNSなどのコミュニティサイトをはじめ、有害でないサイトも閲覧できなくなるなどの問題点が指摘されてきた。

問題を解決するため、携帯サイトが有害か否かの基準を作成し、同基準に基づいて有害でないサイトを認定するための第三者機関設立構想が浮上。モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)事務局長の岸原孝昌氏らが中心となって2007年12月から設立準備委員会を開き、設立趣意書の策定や発起人の募集などの準備を行ってきた。

8日開かれたEMA設立の記者会見では、イー・モバイルやNTTドコモ、ソフトバンクモバイル、KDDIなどの携帯事業者やコンテンツプロバイダー、個人など合わせて100の発起人が公表された。また、東京大学教授でEMAの審査・運用監視委員会委員の長谷部恭男氏が、EMA理事長で一橋大学名誉教授の堀部政男氏の代理として設立趣意書を読み上げた。

その後、弁護士でEMA事務局長の上沼紫野氏が、設立計画書に基づいて事業概要や今後のスケジュールについて説明。EMAの事業内容について、「健全な管理体制であるかどうかなどの基準の策定と、基準に基づいたサイトの認定と運用監視を行う」とし、さらに、「フィルタリング会社などの第三者の利用も視野に入れた有害なサイトを制限するためのカテゴリー基準の策定も行う」と述べた。

また、「一般ユーザーからのクレームを受け付け、基準策定への反映、該当サイトへの改善指示も行う」としたほか、違法・有害サイトを除去するための啓発・教育プログラムなどの普及も目指す。

組織体制としては、学識経験者らからなる理事会、有害か否かの基準策定を行う基準策定委員会、同基準に基づいて携帯サイトの審査・運用監視を行う審査・運用委員会によって運営。両委員会の委員は、理事会によって選任されるとしている。

長谷部氏や上沼氏と共に会見に臨んだMCFの岸原氏によれば、策定された基準や認定サイトは順次公開されるが、基準については全て公開されるわけではない。

今後のスケジュールについては、8日からEMAの会員を募集、30日に創立記念総会を行った後基準策定委員会の委員を決め、5月後半までの基準策定を目指す。その後基準の認定を行い、「早ければ6月後半にも具体的なサイトの認定を始めたい」(EMA)としている。