The JRuby communityは5日(米国時間)、JRubyの最新版となるJRuby 1.1を公開した。JRubyは10ヵ月前となる2007年6月10日(米国時間)に初のメジャーマイルストーンリリースとなるJRuby 1.0が公開された。JRuby 1.1はメジャーリリース後、10ヵ月間にわたる改善の積み重ねの成果物で二度目のメジャーリリースにあたる。特にその改善された実行速度に最大の特徴がある。JRubyは1.0でRuby実装との互換性向上、1.1で実行速度の向上に取り組むなど着実に歩みを進めている。
JRubyはJavaで開発されたRuby実行プラットフォーム。JRubyを使うことでJava仮想マシン上でRubyスクリプトを実行できる。また、RubyスクリプトからJava APIを活用できるという特徴がある。JRuby 1.1にはコンパイラ機能も搭載されており、あらかじめRubyスクリプトをJavaバイトコードに変換して使うこともできる。
JRuby 1.1における主な特徴は次のとおり。
- 大幅に改善された実行パフォーマンス。多くのベンチマークでRuby 1.8.6よりも大幅に優れた性能を出しているほか、パフォーマンスが大幅に改善されたRuby 1.9.0と比較しても特定のベンチマークでは優れた結果を残している
RubyスクリプトをJavaバイトコードへコンパイルする機能の実現(AOTおよびJITモードの2つ)
Javaに移植された鬼車を取り込み高速処理を実現
- 入出力実装のリファクタリング
- メモリ消費の改善
ここ10ヵ月の間にJRubyに実装された各種の改善やパフォーマンスを向上させるための取り組みは目を見張るものがある。Ruby 1.9.0もかなりパフォーマンスが向上したバージョンだが、サーバ用途ではJava技術が有益に働くこともありJRuby 1.1もかなり優れたパフォーマンスを発揮する。すでにフルJRubyで開発運用されたサイトも登場するなど、稼働実績も積みはじめている。
Rubyを使ったWebアプリケーション開発を検討している場合、JRubyもランタイムプラットフォームとして検討してみるといいだろう。Ruby 1.9.0よりも優れた面もあり、今後のパフォーマンス向上や並列処理の向上も期待できる。JRuby 1.1はそういった面でも注目に値するリリースバージョンだ。