NetSuiteの日本法人であるネットスイートは、同社が2月28日に発表した、ソフトウェア開発業者、独立系ソフトウェアベンダ(ISV)、付加価値再販業者(VAR)向けSaaSアプリケーション開発プラットフォーム「NetSuite Business Operating System(NS-BOS)」に関する記者説明会を開催、機能の解説などを行った。
ネットスイート 上席執行役員 マーケティング・営業推進本部長 高沢冬樹氏 |
業種特化型アプリケーションは、「各社が独自の手法によって構築していることもあり、ハイレベルな実装を実現している一方、Windows ServerやLinuxサーバといった従来型のプラットフォームの機能や仕様に依存しており、SaaSへの転換が難しいという課題があった」(同社上席執行役員 マーケティング・営業推進本部長 高沢冬樹氏)という。
同プラットフォームは、そうした課題を解決、業界特化型SaaSアプリケーションの開発支援を行うために開発されたもので、同社の既存ホスト型開発プラットフォームのカスタマイズ、および垂直型アプリケーション開発のための追加プラットフォームで構成される。
NS-BOSは「Software as a Service(SaaS) Infrastructure」「Integrated Suite」「SuiteFlex」「SuiteBundler」の4つのスタックから構成される。
SaaS Infrastructureにより、サードパーティがNS-BOS上で開発したアプリケーションが、NetSuiteのマルチテナント型オンデマンドアーキテクチャ上でホストされることで、場所と時間を選ばず安全にアクセスできるブラウザベースのアプリケーションを提供することが可能となる。
Integrated Suiteでは、NetSuiteアプリケーションをNS-BOSのアプリケーション開発環境に取り入れることで、開発業者は自社のアプリケーションに、オンデマンドERP/CRM/電子商取引のスイートを組み込むことが可能となる。これによりISVは、会計、在庫あるいは、注文管理といった基幹アプリケーション機能の構築に労力を費やす必要がなくなる。
SuiteFlexは、開発、カスタマイズ、垂直化、統合、ビジネスプロセスの自動化のためのテクノロジープラットフォーム。NetSuite環境内で実行可能なアプリケーションの開発ができる。同アプリケーションには、SOAP標準のWebサービスAPI「SuiteTalk」、JavaScriptベースのプログラミング言語「SuiteScript」、アカウントの作成やロールごとの権限設定を行える「SuiteBuilder」などの機能が搭載されている。
SuiteBundlerはカスタマイズ複製ツールであり、垂直型ソリューションをパッケージ化して再現することが可能である。「例えば、教育サービスとして"グローバルITトレーニング"をやっている企業向けのボタンやユーザインタフェースなどを、"クッキングスクール"向けに選択して移すことが可能」(同)となる。
また、SaaS開発環境デバッグツール「SuiteScript D-Bug」により、SuiteScriptで開発されたコードを、SaaS基盤上で、リアルタイムにテストを行うことが可能となる。同社高沢氏は、「コードが作りこめる、復元できる、埋め込める、ことはもちろんのこと、一度埋め込んだJavaスクリプトを実際に動作させながら、ステップ・バイ・ステップで確認することが可能となる」とその特徴を語る。
なお、同プラットフォームについて、同社では、「競合のSaaS開発環境と似た機能が多々あるが、競合の多くはCRMを基盤としている。NS-BOSは統合業務アプリケーションスイートであり、ベクトルが若干異なっている」(同)としている。